今週発売されました,『予備校講師が独学者のために書いた 司法書士 5ヶ月合格法』ですが,どのような内容か気になる方もいらっしゃると思います。
「全米が泣いた」というような内容だと思って頂ければ,大きな間違いがあります(英語で書かれていませんので,全米が泣くことはありません)。
「全米が泣いた」というような内容ではないということは,おわかり頂けたと思いますが(おわかり頂いていたと思いますが),それだけですと情報ゼロですので,以下に本書のはしがき及び目次を掲載します。
目次をご覧頂ければ,たとえば,記述の採点基準についても,
(一部ですが)触れていることがおわかり頂けると思います。
お読みになるかのご参考にして頂ければ幸いです。
はしがき
―予備校講師が、独学者のための勉強法を書く―
この一見矛盾した試み。しかし、これは全く矛盾していません。私から言わせれば、司法書士受験生の方の“すべてが独学者”です。一般的な意味でいうと、「独学者」とは次の1及び2のうち、1の意味で使われます。
1 模試などの「演習形式」の講座を除くと、予備校を利用していない
2 予備校の基礎講座や中上級講座などの「講義形式」の講座を受講している
本書は、独学者のための勉強法を提示する書籍であるため、1の方に合わせて書かれています。しかし、それは2の方のためにもなります。なぜなら、予備校の講義形式の講座を利用しようが利用しなかろうが、結局は“自分で勉強している時間の学習効率”で試験の合否が決まるからです。
独学者の方のための勉強法を提示していますが、本書の目的はただ一つです。それは、「合格すること、つまり、試験で点数を獲るためだけの方法論を追求する」ということです。「合格後に立派な法律家になる」ということは、もちろん重要なことですが、はっきり申し上げて、試験勉強の段階でそれを考える余裕はありません。現実的に、実際的に、どうすれば試験で点数を獲ることができるのかだけを追求しています。それが、「リアリスティック」に込められた意味です。司法書士試験合格までで構いません。リアリスティックに点数を獲ることだけを考えて下さい。
※本書で扱っているテーマのうち、特に重要なものは「リアリスティック2」などとしました。
なお、本書は、人によっては「そこまで口を出すな」と思われるところまで書かれていることもあります。それは、本書が独学者の方を基準として書かれているためですので、多少おせっかいなところがある点はご容赦頂ければと思います。
本書をお読み頂いた方が、ご自身で勉強する時間の学習効率を高め、司法書士試験の合格発表の日に人生最高の笑みを浮かべていることを心より祈念しております。
平成25年7月
辰已法律研究所専任講師 松本 雅典
目次
はしがき 2
本書を読む際の注意点 4
1 行動力
2 確証バイアスを捨てる
3 本書掲載の法律知識
第1章 相手(試験)を的確に知ることから戦略が生まれる
第1節 試験日程・試験科目 22
1 基本事項 22
第2節 最も怖い基準点とは? 24
1 特殊な試験制度 24
2 基準点 26
1(午前択一)について
2(午後択一)について
3(記述)について
3 合格するには? 29
4 法務省が午後択一の基準点を下げている? 30
第3節 基準点以外に存在する「消化試合」とは? ─リアリスティック1 32
1「消化試合」とは? 32
2 各年度の消化試合 35
3 消化試合は結果論? 35
第4節 司法書士試験とは何なのか? 38
1 女子アナ試験ではない 38
2 小学校・中学校レベルの試験 39
第2章 受験勉強全体を貫く理念
第1節 本書の理念 ─リアリスティック2 44
1 本番ですることは? 44
Column 年をとると記憶力が落ちる? 46
第2節 「『P→Q』→『Q→P』ではない」→「自分を勉強法に合わせる」
1 動くのは自分 47
2 受験生目線? 50
Column 多くの曖昧な知識よりも少ない確かな知識? 51
第3節 法律はメニュー ─リアリスティック4 52
1 制度を使う者の視点 52
Column 登記官・裁判官の視点 55
第4節 点獲りマシーンになる ─リアリスティック5 56
1 「合格することだけを考える」とは? 56
2 肩書き・数字・結果 59
第3節 試験に強くなる ─リアリスティック6 61
1 試験に強い人 61
Column 原付免許の試験さえ不合格 70
第3章 どれくらいの努力を積み上げれば受かる試験なのか?
第1節 合格までに必要な勉強時間 72
1 3000時間必要? 72
2 兼業受験生の方の覚悟 76
第2節 長時間勉強するには ─リアリスティック7 77
1 潜在意識を意識する 77
2 比較衡量 82
3 こまめな休憩と作業 86
1 こまめな休憩
2 作業
第3節 精神論も重要 90
1 マイナス要素はカギになる ─リアリスティック8 90
2 努力は必ず報われるのか? ─リアリスティック9 91
第4章 本試験までたどり着くための「ノルマ達成の発想」
第1節 ノルマ達成の発想 ─リアリスティック10 94
1 ノルマ達成の発想とは? 94
2 刑事ドラマのラストシーンに納得を求めますか? 97
3 試験勉強は中途半端なところまでしか学習しない 99
4 諦めを積み重ねる 101
第2節 スケジュールの立て方 ─リアリスティック11 102
1 総論 102
Column 計画は立て直す? 107
2 予備校の講座スケジュールを参考にする 108
3 直前期(4月〜6月)の問題演習 108
第5章 教材(三種の神器ではなく四種の神器)
第1節 テキスト 114
1 推薦テキスト(市販) 114
Column 中上級者の方に最も多い合格パターン 116
2 まとめ本は必要か? 118
第2節 六法 119
1 六法は必要か? 119
2 六法の選び方 124
1 サイズ
2 掲載法令
Column 判例・先例などを六法で引く必要はあるのか? 126
第3節 カコ問 127
1 択一 127
2 記述 ─リアリスティック12 133
第4節 音声データ ─リアリスティック13 139
1 音声学習の効果 139
2 音声学習の対象 140
3 音声学習の方法 144
Column 移動中に音声データを活用 150
第6章 検索先の一元化 VS 情報の一元化 ─リアリスティック14
第1節 情報の一元化とは? 152
1 情報の一元化 152
第2節 検索先の一元化 155
1 試験に持ち込めるものは? 155
Column 情報の多元化はしない 159
第3節 「整理整頓」と情報の一元化・検索先の一元化との関係 160
1 優秀な人の本棚は整理整頓されている? 160
Column そもそも情報の一元化とは? 162
第7章 アウトプットの常識を変える ─リアリスティック15
第1節 インプットとアウトプット 164
第2節 下からではなく上から 167
1「下からではなく上から」とは? 167
2 高度な当てはめ力は求められない 171
3 記述の当てはめのレベル 177
第8章 「読み込み」をしないテキストの読み方
第1節 「読み込み」という考え方が間違っている ─リアリスティック16 180
1「読み込み」は単なる読書 180
Column 1回目ではわからないこともある 181
第2節 テキストの読み進め方 ─リアリスティック17 182
1 テキストにアンダーラインやマーカーを引くことの可否 182
2 組織図やチャート図などを参照 185
3 テキストの事例を変える 187
4 極端な例で考える 191
5 感情を入れる 193
6 方言でツッコミを入れる 195
7 少し汚い言葉で 197
8 リレイティング・リコレクト法 198
第3節 思い出し方の作り方 ─リアリスティック18 205
1「どのように思い出そうか」という視点 205
2 共通する視点を探す 208
3 クロスワードの原理 211
4 法律用語や手続の流れはたとえで 214
1 法律用語
Column ゴロ合わせの作り方 215
2 手続の流れ
5 表の思い出し方 219
1 どう思い出すかを考える
2 補助線でリコレクト
Column 表以外に補助線 225
6 無理矢理にでもつなぐ 226
7 しりとりを作る 228
第4節 テキストでアウトプット ─リアリスティック19 230
1 アウトプットの中心をテキストに 230
2 設例など問題形式になっている部分 231
3 設例など問題形式になっていない説明部分 234
Column 理由や派生論点を考えながらカコ問を解く? 240
第9章 カコ問分析とは「帰納的推測」である ─リアリスティック20
第1節 択一 242
1 帰納的推測による択一のカコ問分析 242
第2節 記述 247
1 帰納的推測による記述のカコ問分析 247
1 登記原因について第三者の許可、同意又は承諾についての注意事項(補足事項)
2 「関係当事者全員から」でなければ申請人がポイントに?
3 「斜線を引け」などの注意事項があれば斜線は必須?
第10章 学説問題の二極化に一石を投じる第三極 ─リアリスティック21
第1節 学説問題とは? 254
1 学説問題の本質 254
第2節 三極の対立 261
1 三つの考え方 261
Column 逃げてはいけない 263
第3節 解法 264
1 二つの解法 264
2 この問題を知識で解ける人はいるのか? 266
3 4分の1を意識する 273
第11章 「記述特有の対策は不要である」と言える時代は終わった
第1節 記述特有の対策は必要か?(択一との関係) 280
1 記述式試験で試される能力 280
第2節 申請書の記憶 ─リアリスティック22 282
1 申請書 282
2 申請書の記憶法の種類 283
3 最も効率的な申請書の記憶法とは? 284
1 所要時間
2 音声学習の効用
3 日本語の構造
第3節 解法 ─リアリスティック23 287
1 解法の習得方法 287
Column 採点基準から考える戦略 289
第12章 決戦当日(本試験当日)の戦略 ─リアリスティック24
第1節 時間配分 292
1 ノルマ達成の発想 292
1 午前択一
2 午後択一
Column 午後択一は全肢読まない? 297
3 記述
Column 字が汚くても減点されない? 300
2 最初の2分間は問題把握と◯× 301
1 問題把握
2 問題に大きく◯又は×をつける
3 後回しにする問題 305
第2節 ケアレスミスは最低のミス 307
1 ケアレスミスの重大さを認識する 307
2 肢の語尾の誤読防止 308
3 試験監督官の指示に忠実に従う 310
第13章 答練・模試に対する誤った考え方
第1節 答練・模試を受ける必要はあるのか? 312
1 模試 312
2 答練 314
第2節 復習方法 317
1 未出の知識を拾う必要があるか? 317
2 解説冊子の使い方 319
第14章 覚悟から生まれるモチベーション ─リアリスティック25
第1節 ほとんどの受験生の方が合格を諦める 322
1 普通の受験生は無視する 322
Column 合格後も平均ではいけない 324
第2節 合格で得られる意外なもの 326
1 間に合わせる力 326
第3節 常に高いモチベーションを保ち続けられる人はいるのか? 329
1 1日中持つことさえない 329
Column 一瞬の喜びでも価値はある? 330
第4節 生きるために必要なのか? 331
1 「合格すること」 → 生きること 331
最後に 333