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記憶のテクニック――「フック」「たとえ」

勉強法 - 会社法(商法)・商業登記法
【この記事の目次】

記憶の原理

 

実践 ―― 募集株式の発行等

 

 

記憶のテクニックは色々とありますが,記憶の原理をよく反映しているのが「記憶のフック」を作るという手法です。

 

 

目次

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記憶の原理

たとえば,日本史の学習では,総理大臣の名前を順番に記憶しないといけません。

単純に,「伊藤博文,黒田清隆,山縣有朋,松方正義,伊藤博文,松方正義,伊藤博文,……」と記憶していくのは困難ですよね。

そこで推奨される典型的な記憶法が,「いくやまいまい……」と総理大臣の名前の頭文字だけを言えるようにする方法です。

単に頭文字を取り出しただけですが,これで多くの方が歴代の総理大臣を順番に言えるようになります。

 

これは,「記憶のフック」を作ったからです。

以下の記事に書きましたとおり,記憶とは要は「想起できるか」です。

 

 

 

 

脳は,何かを思い出すときには「きっかけ」からたどっていきます。

実生活の中でも,「昔聴いていた曲を聴いて,学生時代のことを思い出した」「レジに並んでいる人が買い物かごに入れている物を見て,◯◯を買わないといけなかったんだと思い出した」といったことは多々あると思います。

何かを思い出すときには,「きっかけ」があるんです。

このきっかけが,「記憶のフック」となります。

試験勉強では,思い出したいときに思い出せないといけないので,この「記憶のフック」を意図的に作っていきます。

 

 

実践 ―― 募集株式の発行等

それでは,司法書士試験の学習範囲で実践してみましょう。

会社法・商業登記法の択一でも記述でも,頻出なのが「募集株式の発行等」です。

株を発行(自己株式を交付)するには決まった手続を経る必要があります。

よって,まず,以下の手続の大枠を自在に出てくるようにする必要があり,記述も以下の大枠をフレームワークにして考える必要があります。

 

 

 

 

単純に記憶するのは大変ですよね。

そこで,記憶のフックを作ります。

 

歴代総理大臣のように頭文字だけを言えるようにする手法でもよいのですが,より想起しやすいように「たとえ」を記憶のフックにしてみましょう。

たとえで記憶すると,想起しやすいことがわかっています(ちなみに,他者への説明もわかりやすくなります)。

募集株式の発行等の手続を,以下のように「アイドルのオーディション」にたとえ,それを記憶のフックにします。

 

 

 

 

 

①の募集事項などの決定は,アイドルのオーディションでいうとオーディション要項(「今回は○~○歳を募集する」など)の決定です。

 

②の申込者への通知は,アイドルのオーディションでいうと「アイドル募集」のチラシの送付です。

今だと,募集案内をウェブサイトに掲載するほうが多いでしょうが。

 

③の募集株式の申込みは,アイドルのオーディションでいうとアイドルになりたい人が履歴書を送付することです。

 

④の募集株式の割当ては,アイドルのオーディションでいうと合格発表です。

割当て自由の原則という考え方があり,誰を株主にするかは株式会社の自由です。

誰を合格させるかが主催者の自由であるオーディションと同じですね。

 

⑤の出資の履行は,アイドルのオーディションでいうと事務所への保証金の支払です。

スキャンダルが発覚したときのために,保証金を支払います(これはフィクションです……)。

 

 

ちなみに,②③④の代わりに行うのが総数引受契約ですが,これはアイドルのオーディションでいうと,特定の人に決めてスカウトしてしまうようなものです。

スカウトなので,チラシの送付,履歴書の送付および合格発表がなくなります。

 

このように,たとえを記憶のフックにすれば,募集株式の発行等の手続の大枠を容易に思い出せるようになります。

 

なお,「募集設立の設立時募集株式の引受人の募集」と「募集新株予約権の発行」も同様のたとえで流れを記憶できます。

 

 

記憶するときは,「記憶のフック」を使い,可能であれば「たとえ」も使っていきましょう。

 

 

 

松本 雅典

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