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予備校の講義スタイルについて考察してみた

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代表的な講義スタイルは,以下のものがあります。

 

 

1.板書メイン

2.口頭の説明メイン

3.パワーポイントメイン

4.書画カメラメイン(テキストデータを画面に表示してデジタルで書き込みをする形式も含む)

 

 

講義スタイルを考えるにあたって大事なのは,以下の2点です。

 

 

①受講する人の能力による効果の差が小さい

受講する人が一定のレベル以上であることを前提とする講座(ex. 大学受験では選抜試験のある東大クラスなど,資格試験では中上級講座)では,この①はあまり考える必要はありません。

しかし,受講する人の能力がバラバラの講座(ex. 大学受験の通常のクラス,資格試験の基礎講座)は,この①を考える必要があります。

受講する人の能力が,まったく勉強したことがない人から,すでに合格に近いレベルにある人まで様々だからです。

 

②講義時間内に吸収できる情報量を多くする(要は効率)

講義を受講するのに結構な時間を取られます。

よって,その時間内に効率良く吸収できる講義がベストです。

これは,単に情報量が多いということではありません。

 

 

この①②の視点から,上記1.~4.の講義スタイルを評価していきます。

 

 

目次

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1.板書メイン

 

①受講する人の能力による効果の差が小さい  ★★★★★

板書を写すだけで出来上がるノートは同じになりますから,受講する人の能力によって差はつきにくいです。

受講する人の字の綺麗さ,ノートのどこに書くかなどによって差ができるくらいでしょうか。

 

②講義時間内に吸収できる情報量を多くする(要は効率)  ★☆☆☆☆

板書をノートにとりながら講義の説明を聴く(2つのことを同時にする)のは,多くの方にとって難しいです。

また,司法書士試験は分量が多いので,板書で全科目の説明をするのは非現実的です。

民法だけとかならできますが。

 

よって,司法書士試験でこの講義スタイルは,ちょっと考えられません。

 

 

2.口頭の説明メイン

 

①受講する人の能力による効果の差が小さい  ★★☆☆☆

どこが大事なのかわかりにくくなりますし,何をメモすればいいのかわかりにくいです。

よって,優秀な人は成績が上がるが,そうでない人は「講義を受けているだけ」となりがちです。

ただ,講義の仕方によって,差を小さくできます。

「どこが大事かを逐一指摘する」「何をメモするべきか,どこにチェックするかを細かく指摘する」というように講義すれば,差が小さくなります。

 

②講義時間内に吸収できる情報量を多くする(要は効率)  ★★★★★

板書の時間がありませんので,情報量は多くなります。

ただ,実際にそれを吸収できるかは,講義を聴くのがうまいか(優秀か)で大きく変わります。

「講義を受けているだけ」となってしまう人は,あまり吸収できません。

 

受講する人が一定のレベル以上であることを前提としますので,私も,以下の無料講義(前半部分)など,この講義スタイルで講義することもあります。

以下の無料講義(前半部分)は,不動産登記法の講義を聴いたことがあるかテキストを読んだことがある方を前提にしています。

でないと,わけがわかりません。

 

 

名変(不登法)と組織再編(商登法)を真に理解する90分

無料講義内で使用しているレジュメはこちらからご覧いただけます。

 

 

 

3.パワーポイントメイン

 

①受講する人の能力による効果の差が小さい  ★★★☆☆

パワーポイント集は配付されるでしょうから,板書のようなものは手元に残ります。

しかし,動画なので,講義が終わると,動画を思い出せる人と思い出せない人で差が出ます。

 

②講義時間内に吸収できる情報量を多くする(要は効率)  ★☆☆☆☆

パワーポイントに入れられる情報量は少ないので,情報量は少なくなります。

あと,パワーポイントを作る人の労力が,画像の収集やアニメーションの設定に割かれるという理由もあります(パワーポイントを作ったことがある人ならわかると思います)。

 

やはりパワーポイントは,プレゼンなど「伝えたい情報量は少ないが,インパクトを残したい,グラフなどのデータを使ってわかりやすく伝えたい」という場合に使うものです。

よって,私も,ガイダンスではパワーポイントを使います。

 

 

司法書士の“リアルな”仕事・就職・収入

無料講義内で使用しているレジュメはこちらからご覧いただけます。

 

 

 

4.書画カメラメイン(テキストデータを画面に表示してデジタルで書き込みをする形式も含む)

 

①受講する人の能力による効果の差が小さい  ★★★★★

テキストを画面に映しますので,出来上がる書き込みは全受講生の方共通です。

どこにどう書き込むかも明確なので,どこに書くかなどの差もできません。

できるとしたら,字の綺麗さによる差くらいでしょうか。

 

②講義時間内に吸収できる情報量を多くする(要は効率)  ★★★★☆

上記2.(口頭の説明メイン)と違い,書き込む時間がありますので,上記2.よりは情報量が少なくなりがちです。

しかし,板書と違い,元から印刷されているテキストの記載を前提に書き込みをしていきますので,効率は良いほうです。

なお,(これはどの講義スタイルでも同じですが)受講する人の能力によって理解度の差は出ます。

 

これらのメリット・デメリットを考え,私は基礎講座では,以下のように上記4.(書画カメラメイン)の講義スタイルを採っています。

 

 

リアリスティック導入講義 民法の全体像①

無料講義内で使用しているレジュメはこちらからご覧いただけます。

 

 

 

受講される方は,まったく法律を勉強したことがない人からすでに合格に近いレベルにある人までいますし,多くの情報量を提供する必要がある基礎講座だからです。

 

以下の記事に書いたとおり,私自身が受講生だったら,「『対抗力』の3文字にマークしてください」と言われても,「対抗力」を探すのに時間がかかり講義が先に進んでしまう,といったレベルだったので,この講義スタイルの講座以外はついていけないという理由もあるんですが。

 

 

 

 

 

松本 雅典

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