私も受験生時代,予備校の講義を受けようか考え,色々な講座の体験講義などを観ました。
しかし,「ついていける講義はないな……」とショックを受けました。
どの講義も「講師が口頭でテキストの内容を説明していく」というものばかりだったからです。
もちろん,「ここがポイントです」と指摘があったり,たまに図を描いたりということはありました。
ですが,それで講義の内容を自分のモノにできるのは,「講義を聴くのが上手い人」です。
講義は,聴くのが上手いか下手かで,成果がまるで違います。
「東大生のノートは,ポイントがキレイにまとまっている」と聞いたことがありますよね。
私は,講義を聴くのが下手なことを自覚していました。
学生時代,「自分でポイントを考えてメモを取る」なんてことはもちろんできませんでしたし,さらにいえば,講義中に「ちょっと違うことを考えてしまい,今どこの説明をされているのかわからなくなる」といったレベルでした。
今どこの説明をされているのかわからなくなり,ボーっと窓の外を見ていたら,先生に「外でも走ってきたらどうだ?」と言われる始末でした。
中上級講座であれば,基本的な理解はひととおりできた方(中上級講座の講義についていける方)を対象としていますので,問題ないと思います。
しかし,基礎講座は,法律の学習がまったくの初めてという方もいます。
予備校は「誰でも目指せる資格です」と言ってはいますが,「優秀層しか相手にしていないんだ。私は,あらかじめ切り捨てられているんだ……。」と感じました。
ただ,切り捨てる意図はないと思います。
講師や予備校のスタッフの方は,ほとんどが学生時代から「優秀層」であった人たちです(私から見れば)。
そういった優秀層の方が講座を作るので,「今どこの説明をされているのかわからなくなる」といった私のような人間のことを想像していないのは当然です。
私なんて,「『対抗力』の3文字にマークしてください」と言われても,「対抗力」を探すのに時間がかかり講義が先に進んでしまう,といったレベルです。
したがって,私の講義では,以下のように,テキストを画面に映しています。
*導入講義内で使用しているテキストの該当ページはこちら(PDF)からご覧いただけます。『【第3版】リアリスティック民法Ⅰ[総則]』P1~35をご覧いただけます。
この講義スタイルなら,「今,どこを説明されているかわからない」という事態にはなりませんし,ちょっと集中力が切れても,すぐに講義に復帰できます。
この講義スタイル以外,私が受験生であったらついていけません。
全講義が終わった後に,講師が300~500時間も話したことの中から,試験に出るポイントだけを都合よく引っ張りだすなんて芸当,私にはできません。
講義のポイントは,講義が終わった瞬間に,全受講生の方に平等にテキストの「(アンダーラインなども含む)書き込み」という形で提供されるべきです。
だから,私の講義スタイルは「テキストを画面に映して,書き込んでいく方式」なのです。
松本 雅典