私も,受験生時代,予備校の講義を受けようか考え,色々な講座の体験講義などを観ました。
しかし,「ついていける講座はないな……」とショックを受けました。
どの講義も「講師が口頭でテキストの内容を説明していく」というものばかりだったからです。
もちろん,「ここがポイントです」と指摘があったり,たまに図を描いたりということはありました。
ですが,その程度で講義の内容を自分のモノにできるのは,「講義を聴くのが上手い人」だけです。
講義は,聴くのが上手いか下手かで,成果がまるで違います。
「東大生のノートは,ポイントがキレイにまとまっている」と聞いたことがありますよね。
私は,講義を聴くのが下手なことを自覚していました。
学生時代,「自分でポイントを考えメモを取る」なんてことはもちろんできませんでしたし,さらにいえば,講義中に「ちょっと違うことを考え,今どこの説明をされているのかわからなくなる」といったレベルでした。
中上級講座であれば,基本的な理解はひととおりできた方(中上級講座の講義についていける方)を対象としていますので,問題ないと思います。
しかし,私が観たのは基礎講座の講義です。
予備校は「誰でも目指せる資格です」と言ってはいますが,「優秀層しか相手にしていないんだ。私は,あらかじめ切り捨てられているんだ……。」と感じました。
ただ,切り捨てる意図はないと思います。
講師の経歴をご覧いただければわかりますが,ほとんどが学生時代から「優秀層」であった人たちです(私からみれば)。
そういった優秀層が講座を作るので,「今どこの説明をされているのかわからなくなる」といった私のような人間のことを想像しないのは当然です。
こういった悩みを抱えている方は少ないと思っていたのですが,最難関試験の司法試験の受験生の方でも,実はかなりいらっしゃるようです。
・呉明植(伊藤塾)(司法試験情報局(LAW-WAVE))
呉先生は,
「テキストを読み進めながら、細かくマーク箇所を指定していく講義スタイル」
なので,
呉クラスでは、「講義の成果」を上手に残すことは、全ての受講生に平等に保証されています
それ以外の講義スタイルを採る他の講師の講義が,
翻って、一見その場では分かった感じにはなるかもしれない、トーク主体のスカスカなおしゃべり講義が、どれだけ後の役に立たないのか
ということは,私も完全に同感です。
私はさらにレベルが低く,「『対抗力』の3文字にマークしてください」と言われても,「対抗力」を探すのに時間がかかり講義が先に進んでしまう,といったレベルなので,私の講義では,以下のように,テキストを画面に映しています。
この講義スタイル以外,私が受験生であったらついていけません。
講義が終わった後に,他人が300~500時間も話したことの中から,試験に出るポイントだけを都合よく引っ張りだすなんて芸当,私にはできません。
講義のポイントは,講義が終わった瞬間に,全受講生の方に平等にテキストの「(アンダーラインなども含む)書き込み」という形で提供されるべきです。
だから,私の講義スタイルは「テキストを画面に映して,書き込んでいく方式」なんです。
松本 雅典