不動産登記法の申請書(ひな形)の記憶の前に

不動産登記法

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本質的な話をしましょう。
不動産登記法の申請書とは,そもそも何を書いているのでしょうか。
これを考えずに単に申請書の記載例を記憶して合格することもできますが(私は考えずに合格しました),一度しっかりと考えておくと,申請書の記憶がしやすくなりますし,本試験で見たことのない申請書を書かされた場合でも,推測である程度書ける確率が高くなります。
※リアリスティック一発合格松本基礎講座の不動産登記法3回目でお話した内容ですが,同講座をご受講中の方も,『Realistic Text 不動産登記法Ⅰ』P208,P62を開いて再度お考え下さい。
以下の申請書は,最も基本的な「売買を原因とする所有権移転の登記」の申請書です。

140908不動産登記法・申請書1

番号をふった箇所の意味は,それぞれ以下のようになります。

140908不動産登記法・申請書2

①および②について
「登記の目的」を2つに分けて考えて下さい。
「所有権移転」とは,「所有権」が「移転」した,つまり,「権利」(ほとんど物権です)が「こう変動しました」ということなのです。
(注)登記には,名変など権利変動でないものもありますので,一部の申請書には当てはまりません。
③および④について
登記の目的に「権利」が「こう変動しました」ということを書きました。
不動産登記制度は,その理由も公示することを要求していますので,それを「登記原因及びその日付(原因)」に書きます。
原因に書く日付は,原則として「権利変動の効力発生日」です。
だから,所有権移転時期の特約の有無で,原因に書く日付が変わってくるのですね(ex.平成25年版〔記述〕,平成21年度〔記述〕)。

登記原因は,「権利変動が発生した原因」を書きます。
上記の申請書は,売買をしたことにより,権利(所有権)が変動(移転)したため,「売買」と記載します。
贈与をしたことにより,権利(所有権)が変動(移転)したのであれば,「贈与」と記載します。
⑤について
添付情報は,「この申請書に記載してある権利変動は,ホントだよ~」という意味で提供します。
ここで,1つ視点を変えて下さい。
①~④は,申請する側(売主様,買主様,司法書士など)の視点で考えていました。
しかし,(添付情報だけではありませんが)不動産登記法などの手続法を学習する時は,審査する側,つまり,登記官や裁判官からの視点も意識することが重要です。
不動産登記法などの手続法を利用している者の中には,登記官や裁判官もいるのです。
それらの者からの視点で定められている規定もあります。

登記所(法務局)にいる登記官からすると,申請書だけでは,たとえば,以下のようなことがわかりません。
 
・「本当に売買があったのか?」
→ 登記原因証明情報を提供
 
・「この登記義務者は本当にこの不動産の登記名義人なのか?」
→ 登記識別情報を提供
 
このような理由から,添付情報を提供し,登記所にいる登記官に「この申請書に記載してある権利変動は,ホントだよ~」と伝えるのです。
※なお,「こう変動しました」「こういった原因で権利変動が発生しました」「ホントだよ~」などという表記にしていますが,それは,申請が登記所に対する意思表示だからです。これは,判決による登記(不登法63条1項)のところで扱いますね。
本試験で見たことのない申請書を書かされた場合は,上記の視点から考えて下さい。
つまり,以下のように書いて下さい。
・登記の目的
→「権利」が「どう変動したか」を書く

・原因
→「権利変動の効力発生日」「権利変動が発生した原因」を書く
・添付情報
→登記所にいる登記官に「この申請書に記載してある権利変動は,ホントだよ~」という気持ちを伝える
(注)添付情報については,それぞれの添付情報ごとの提供のルール(講義で説明を受けるはずです)を把握しておけば,テキストに載っていない申請書でも8割方は書けることが多いので,見たことのない申請書を書かされた場合に,この視点で書く必要性はあまりありません。

このように,本試験で見たことのない申請書を書かされた場合の対策にもなりますが,まずはこの記事に書いた視点を,申請書(ひな形)の記憶に役立てて下さい。
やはり本質的な話は楽しいですね。
松本 雅典




本試験詳細分析会
レジュメはこちら(PDF)からご覧いただけます。プリントアウトし,ガイダンスをご覧下さい。

中上級者もリアリスティック式で
レジュメはこちら(PDF)からご覧いただけます。プリントアウトし,ガイダンスをご覧下さい。平成26年度司法書士試験の不動産登記(記述)の枠ズレの採点方法(松本の推測)も示しています。

 


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