1記事あいてしまいましたが,以下の記事の続きです。
不動産登記法の申請情報を単に記憶していませんか?
応用の話や細かい話は避けていますので,「基本がわかっているか?」のものさしに使ってください。
今日は,民法の「共有」の話です。

「共有」とは?

共有の図ってだいたい以下のようなものなので,誤解が生じやすいです。
※A,B,Cが,土地を持分3分の1ずつで共有している場合の図です。

150831共有の図

この土地が90㎡だったとして,Aが西側30㎡,Bが真ん中の30㎡,Cが東側30㎡を所有している…わけではりません。
共有とは,あくまで共同所有という概念の話であり,物理的な話ではありません
Aの所有権も,Bの所有権も,Cの所有権も,上記の土地90㎡すべてに及んでいます。
ただ,3人で共同所有しているので,それぞれの権利が3分の1(物理的な話ではない)ということです。

土地だと30㎡ずつ使おうと思えば使えるため,イメージがしづらいかもしれないので,自動車で考えてください。

150831共有の図(自動車)

自動車をA・B・Cで共有している場合,物理的に1/3ずつに分けて使うことはできませんよね。

これがわかっているとなんの役に立つの?

上記の「共有とは,あくまで共同所有という概念の話であり,物理的な話ではない」ということをわかっていて,(そもそも共有を勘違いしているのはマズイという点を除くと)なんの役に立つのでしょうか。
意外と色んなところで役に立ちます。
民法の知識でも,不動産登記法の知識でも,これを理由として使えることが多いです。
この記事では,民法の知識で1つ例を挙げます。

民法249条(共有物の使用)
各共有者は、共有物の全部について,その持分に応じた使用をすることができる。

この民法249条について,有名な以下の判例があります。
最判昭41.5.19
共有物を単独で占有する他の共有者に対して,他の共有者から,当然には共有物の明渡請求をすることはできない。

たとえば,A,B,Cが土地を共有している場合に,Aが勝手に土地を占有していても,BまたはCはAに対して当然には土地の明渡しを請求できません。
共有とは,あくまで共同所有という概念の話であり,物理的な話ではありません。
A,B,Cそれぞれが,土地の90㎡すべてを使うことができるのです。

よって,BまたはCは当然には明渡請求ができないのです。
では,BまたはCは,何もできずにずっとAが占有しているのを我慢していないといけないかというと,そうではありません。
BまたはCは,たとえば,以下の手段を採ることができます。
1.A,B,Cで使用方法の協議をする
この協議で, 「Aが西側30㎡,Bが真ん中の30㎡,Cが東側30㎡を使う」と決めるのはOKです。
他にも,「1月~4月はA,5月~8月はB,9月~12月はC」とかでもOKです。
2.Aに不当利得返還請求をして金銭の支払を請求する
3.共有物の分割請求(民法256条)をする 
 
「共有とは,あくまで共同所有という概念の話であり,物理的な話ではないなんてわかっているよ!」という方も多いかもしれませんが,私は受験生時代はわかっておらず,「Aが西側30㎡,Bが真ん中の30㎡,Cが東側30㎡を所有している」と考えてしまっていました。
同じような人もいると思います。
これを知るだけで,共有に関する色々な知識の理由がわかってきます。
中締めをしますの記事に続きます。
 
 
松本 雅典
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