会社法の本質(2) ―委員会設置会社の本質とは？―

　　　  ↓ ランキング参加中です。

にほんブログ村   　　　　　           　　　           
先日，会社法の本質(1)という記事を書いた際に，「近日中に，『委員会設置会社の本質とは？』という記事を書こうかと思っています。」と記載しましたので，今日は委員会設置会社について書きます。
通常の予備校では，「委員会設置会社は，アメリカ型の監視体制の厳しい会社である」としか指導されません。
それも，本質なのですが，実は「アメリカ型の監視体制の厳しい会社である」ということは，委員会設置会社の本質の2つ目なのです。
前提となる本質の1つ目を教えられていないのに，2つ目だけを教えられても大して使えません。
では，その「本質の1つ目」を考えてみたいと思います。
まず，委員会設置会社の特徴として以下の説明をご覧下さい。

上記の図にあるように，委員会設置会社の取締役会は通常の株式会社の株主総会が行う権限の一部を行使し，執行役は通常の株式会社の取締役会が行う権限の一部を行使します。
なぜこのようになっているかということに，委員会設置会社の「本質の1つ目」があります。
その答えは，以下のとおりです。

（『Realistic Text 会社法・商業登記法Ⅰ』P441より引用）

つまり，委員会設置会社は「グローバル企業」を想定しているのです。
ここで言う「グローバル企業」とは，単に世界中で取引をしているという意味ではなく，「株主が世界中にいる」ということを指しています。
たとえば，ドバイに居住している株主は，「臨時株主総会を行うから，すぐに新宿の◯◯ビルに集まってくれ」と言われても，すぐに来られるわけがありません。
よって，取締役会にある程度のことを任せる必要があるのです。
この「株主が世界中にいるため，ある程度のことを取締役会に任せる必要がある」ということが委員会設置会社の「本質の1つ目」です（なお，実際の上場企業においては，委員会設置会社でなくても，株主が世界中にいる企業はあります。しかし，ここでは実務は無視して下さい。あくまで「こう想定されて制度が作られている」という話ですので，必ずしも実務と一致しません。何でもかんでも実務の説明をすればよいわけではありません）。
この「本質の1つ目」から，「アメリカ型の監視体制の厳しい会社である」という本質の2つ目が導き出されます。
以下のような流れになります。

（『Realistic Text 会社法・商業登記法Ⅰ』P441より引用）

株主が世界中にいて，目が行き届かなくなるおそれがあるため，監視体制の厳しい会社にする必要があるのです。
この最後だけを教えて，本質の1つ目を教えないのは，効果がほとんどありません。
非常に重要な話ですので，もう一度この記事の初めから流れを確認して下さい。
これが，司法書士試験において，委員会設置会社の得点率が悪い要因です。
会社法ほど，本質的な理解が重要である科目がないにもかかわらず，条文の暗記科目だと誤解されています。
司法書士試験の講師の中で，私以上に理由付けや本質的な理解を重視する講師はいるの……かの判断はみなさんにお任せします。

なお，その他の会社法の本質については，以下のガイダンスでお話します。
基礎講座のガイダンスであり，全く学習をしたことのない方を対象としたものですが，会社法のガイダンスについては，今年の本試験を受けられる方もお越し下さい。
最後の1回又は2回の会社法のテキストの回しで，本質的な理解に基づいた学習が可能となります。
なお，平成25年向けリアリスティック一発合格松本基礎講座をご受講中の方はご参加不要です。
より本質的な話を，既に講座内でしておりますので。
【東京本校】　※東京本校の地図はこちらをご覧下さい

【近日開催ガイダンス】

【相互リンク先募集キャンペーン】
現在，相互リンク先募集キャンペーンを行なっています。
詳細はこちらをご覧下さい。
特典もありますので，ご検討お願いします。

　　　　　 　↓ 司法書士試験関連のブログをご覧になれます