※追記あり※ 午後択一は全肢よむか?―姫野説VS根本説VS松本説

平成27年度(2015年度)司法書士試験

時間制限の厳しい近年の試験においては,「午後択一は全肢よむか?」が議論になります。

業界を代表する中上級講座の有名講師である姫野先生と根本先生の考えは,以下のとおりです(だと思います)。

※組合せ問題に絞って記載します。
※「姫野先生説」「根本先生説」と表記すると読みづらくなりますので,敬称は省略します。ご了承ください。

姫野説

全肢よまない。たとえば,2肢の正誤を判断し,組合せで答えが出たのであれば,残りの3肢は検討せずに次の問題にいく。記述を解いて時間が余れば,残りの3肢を検討する。

根本説

余程のことがない限り,全肢よむ。

姫野先生は,ここ数年のほとんどのガイダンスで上記の話をしております。
根本先生は,ガイダンスであまり「全肢検討するか?」の話をされていないと思いますが,平成26年度の直前期のガイダンスで上記の発言をされておりました。
上記の内容に誤りがある場合は,両先生方,ご指摘ください。

松本の考え

以下は,私の考えです。
私は,上記2説の折衷説です。

松本説

全肢よむかは,受験生の方の状況,問題により使い分ける。

私は,実力や問題の形式によって使い分ける(全肢よんだり読まなかったりする)べきだと考えています。
 

実力による選択

・全肢をよまなくても,午後択一の基準点をきらないだろう(27~28問は獲れるだろう)という方
 →姫野説の方法で解く 
中上級者の方で午後択一の実力がある方は,こちらに該当します。
姫野先生は中上級講座の先生ですし,「満点を目指す」講座ですので,姫野先生の考えは筋が通っていると思います。
 
・全肢をよまないと,午後択一の基準点をきるだろう(27~28問は獲れないだろう)という方
 →根本説の方法で解く
基準点付近の方は,(正しいものの組合せを選べという問題で)「ア・イは正しいな。でも,オも読んだらオも正しいと思った。もう1回アを読んだら,アが誤りであったことに気づいた」ということがよくあります。
私の受験時も,上記のように解答を直した問題が4問ほどありました。
直していなかったら不合格でした。
・記述の解答スピードが他の人よりかなり遅い(ex.書くのがかなり遅い)という方
 →姫野説の方法で解く 

※科目別に使い分ける方法も 
「得意科目は姫野説で,不得意科目は根本説でいく」という方法もお薦めします。
こういった見極めを直前期(4月~6月)の答練・模試で行ってください。
私の基礎講座の受講生の方は,先日お知らせした個別面談で話し合って決めましょう。

問題形式による選択

上記でいずれの方法を選択した場合でも,以下の問題については,以下の解き方をお薦めします。
・登記記録問題
 →姫野説で 
登記記録問題は,登記記録のすべての権利関係を把握しなくても,肢と登記記録の該当箇所だけを見て答えを出すことができる場合があります(※)。たとえば,それだけで組合せ上答えが出る問題であれば,
登記記録のすべての権利関係を把握しないと答えが出ない他の肢まで検討するのは,あまりに時間のロスになります。
※詳細は以下のガイダンスの1:02:00~,および,不動産登記法の登記記録問題の解き方をご覧ください。以下の動画は,1:02:00を頭出ししています。ただし,以下の動画を再生したことがある方は,その再生記録がお持ちの端末に記録されており,1:02:00から頭出しされないことがあります。その場合は,お手数ですが,「1:02:00」の箇所に移動して下さい。


・学説問題
 →根本説で 

午後択一の学説問題はあまりないですが(不動産登記法が最も出る確率が高い),学説問題を2~3肢しか読まないのはさすがに怖いです。

姫野先生,根本先生,松本の見解に対する反論や,「そもそも私の見解と違うことを松本が書いている!」というご指摘がありましたら,ご遠慮なくおよせください。
ガイダンスでお聴きしたことだけに基づいて書いていますので,異なる点があるかもしれません。
いや,多分あると思います。
他人が書くと,少しズレるんですよね。
(3月23日〔月〕10時14分追記)
姫野先生から以下のご指摘をいただきました。
【午後択一は全肢よむか?―姫野説VS根本説VS松本説】について
こちらも合わせてお読みください。
ただ,根本先生はブログやTwitterなどをされていないと思います。
よって,LECさんでのガイダンスのレジュメやLECさんのホームページ上にこの記事のURLを記載していただき,反論・ご指摘をしていただいても結構です。
「私の氏名や見解」を挙げることは,批判をする場合でも,もちろん何の問題もありません。
こういう記事は,受験生の方は面白いでしょうか?
ぜひご意見をお聞かせください。
需要があるようでしたら,また書いていこうと思います。

  
松本 雅典
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