過去問集は,1回回せば十分です。
時間があったら,2回回しても構いませんが。
過去問集を何回もやっている暇があったら,以下のような勉強をして下さい。
「複数の知識を切ることができる共通の視点が記載された,テキストの該当箇所をアウトプットできるようにする」
たとえば,私の講座の不動産登記法のテキストには,以下の記載があります。
この吹き出しの「共有物分割及び持分放棄は,登記記録上の共有者である者が登記権利者・登記義務者となる。」というルールさえ思い出せれば,以下のカコ問の肢の正誤の判断ができるようになります。
(3-30-3)
甲,乙,丙3名共有名義の不動産について,甲から共有登記名義人でない丁に対する持分放棄を原因とする甲持分一部移転の登記の申請はすることができない。
(21-21-オ)
A及びBを所有権の登記名義人とする不動産について,持分の放棄を登記原因として,Aの持分をCへと移転する持分の一部移転の登記を申請することはできない。
⇛「登記記録上の共有者」に対してしかできません。よって,2つとも◯です。
(2-23-5)
単独所有名義になっている不動産につき,事実上は共有不動産であるとして,共有物分割を登記原因とする所有権移転の登記の申請はすることができない。
(7-25-ウ)
Aの単独所有の名義で登記されているA・B共有の不動産についてA・B間でBの所有とする旨の共有物の分割の合意がされたときは,共有物分割を原因としてBへの所有権の移転の登記を申請することができる。
⇛ 実体がどうであろうが,「登記記録上の共有者」に対してしかできません。よって,上の肢は◯,下の肢は☓です。
(10-24-ア)
A・B共有名義の不動産について,CがBからその共有持分を譲り受けた後,Aが持分を放棄した場合には,BからCへの共有持分移転登記を経由しないでも,Aの持分についての持分放棄を原因とするCへの共有持分移転登記の申請をすることができる。
⇛ グダグタ複雑に書いていますが,「登記記録上の共有者」に対してしかできません(Cが登記記録上の共有者になっている必要があります)。よって,☓です。
(4-24-3)
A・B共有の不動産について,Bの持分放棄を登記原因として,Aのために持分移転の登記を申請する場合において,登記名義人Aの現在の住所と登記簿上の住所が異なるときは,その前提として,登記名義人Aの表示の変更の登記の申請をすることを要する。
(19-27-エ)
A及びBの共有に属する不動産について,持分放棄を原因とするBに対するA持分全部移転の登記を申請する場合において,Bの現住所が登記記録上の住所と異なるときは,移転の登記をする前提としてBの住所についての変更の登記を申請する必要がある。
⇛ 移転登記の登記権利者に名変登記が要求されます。登記官が「登記記録上の共有者」と判断するには,氏名(名称)・住所が1字1句同一である必要があるからです。よって,2つとも◯です。
(17-20-イ)
AからBに対する贈与を原因とする所有権の移転の登記について,その登記原因を共有物分割とする更正の登記を申請することができる。
⇛「共有物分割」にしてしまったら,Aから登記記録上の共有者ではないBに登記がされたことになってしまいます。よって,☓です。
この知識だけで正誤が判断できる肢は,まだまだありますが,ご覧になるのが疲れたでしょうし,カコ問の肢を何個も見ても意味がありませんので,ここで止めておきます。
これが,勉強です。
肢1つ1つではなく,いくつの肢にも対応できる知識を検索先として,それをアウトプットして下さい。
他の受験生の方は,下にあるカコ問から本試験を目指そうとします。
以下のようなことがよい例です。
1. 本試験でどのように形を変えられて出されるかを考える
2. 択一を記述化する
どちらも,今までの受験業界が生み出した,短期合格の弊害となる勉強法です。
厳しい言い方ですが,受験生の方が上記の1・2を考えても,当たらない可能性が非常に高いのです。
択一の肢を少し変えれば成立しないものもありますし(判例などがなく結論がないということが多々あります),記述にできる肢とできない肢があります。
しかも,それを誰にもチェックしてもらえないとしたら,最悪です。
間違えたまま記憶してしまうかもしれません。
下から行かないで下さい。
上から行って下さい。
冒頭の例で申し上げると,「検索先」に当たるのが「共有物分割及び持分放棄は,登記記録上の共有者である者が登記権利者・登記義務者となる。」というルールであり,下のカコ問や本試験に当たるのが上記の肢の1つ1つです。
こんな肢の1つ1つを知識として入れていくなんて,時間の無駄でしたありません。
また,検索先も複数になってしまい,脳科学者が提唱している記憶のコツと真っ向から反することになります。
試験に必要な知識量を提示し,理解できるようにわかりやすく説明するだけが予備校の役目であった時代は,終わりました(もちろん,これらも未だに重要です)。
どのような形でも対応できる上記の吹き出しの中に当たるような検索先を提供するのが予備校の講義であり,それを思い出せるようにするのが勉強です。
問題を解くなんてレベルの低いアウトプットは卒業し,よりレベルの高いアウトプットをして下さい。
アウトプットのメインとなる対象は,テキストです。
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