特別養子縁組の改正による『リアリスティック民法Ⅲ』の修正箇所

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2019年6月,民法の特別養子縁組の改正がされました。

 

施行日は公布の日(2019年6月14日)から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日とされており,2020年度から出題範囲となるか微妙でした。

しかし,2019年12月18日の官報で施行日が2020年4月1日と発表されたため,2020年度から出題範囲となることが確定しました。

 

可決成立日:2019年6月7日

公布日  :2019年6月14日

施行日  :2020年4月1日

出題範囲 :2020年度~

 

 

改正前の民法の条文と改正後の民法の条文は,以下のとおりです。

 

 

旧民法817条の5(養子となる者の年齢)
第817条の2に規定する請求の時に6歳に達している者は,養子となることができない。ただし,その者が8歳未満であって6歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合は,この限りでない。

 

新民法817条の5(養子となる者の年齢)
1 第817条の2に規定する請求の時に15歳に達している者は,養子となることができない。特別養子縁組が成立するまでに18歳に達した者についても,同様とする。
2 前項前段の規定は,養子となる者が15歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合において,15歳に達するまでに第817条の2に規定する請求がされなかったことについてやむを得ない事由があるときは,適用しない。
3 養子となる者が15歳に達している場合においては,特別養子縁組の成立には,その者の同意がなければならない。

 

 

この改正に伴い,債権法改正・相続法改正完全対応版『リアリスティック民法Ⅲ』について,以下の修正が必要となります。

お使いの方は,修正をお願いいたします。

 

 

変更前 変更後
P451/6行目 養子は,6歳未満でなければなりません(民法817条の5本文)。6歳以上だと,親が替わったことに気づいてしまうからです(上記②の視点)。 養子は,15歳未満でなければなりません(民法817条の5第1項前段)。
 
 
 
 
P451/8~10行目 ただし,6歳になる前から養親に監護されていたときは,8歳未満であればOKです(民法817条の5ただし書)。6歳になる前から一緒に暮らしていたのなら,親が替わったことに気づきにくいからです(上記②の視点)。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ただし,以下の2つの要件を充たせば,15歳に達した後でも可能です(新民法817条の5第2項)。
・15歳になる前から養親に監護されていた
・15歳に達するまでに請求をできなかったやむを得ない事由がある
※審判確定時に18歳未満である必要があります(新民法817条の5第1項後段)
※15歳以上だと養子の同意が必要となります(新民法817条の5第3項)
特別養子は,要件が厳格であり,利用できない事例が多数あります。その原因の1つが養子の年齢制限でした。ある程度成長してから虐待を受けて児童養護施設に入った子供などについては,利用できない制度となっていました。こういった事例にも使えるようにするため,令和元年の改正で年齢制限が引き上げられました。

 

 

PDFもアップいたします。

 

191229特別養子縁組の改正による修正(PDF)

 

 

以下の法務省のリーフレットも参考になります。

 

民法等の一部を改正する法律の概要(法務省民事局)

 

 

なお,2020年度向けリアリスティック一発合格松本基礎講座を受講中の方には,上記の改正について2020年1月9日(木)18:15~補講(10分程度)を実施します(もちろん,通信でもご受講いただけます)。

※補講には,『リアリスティック民法Ⅲ』をご持参ください。

 

 

 

※債権法改正・相続法改正完全対応版『リアリスティック民法』についての誤植は,以下の記事をご覧ください。

 

 

 

※近年の司法書士試験の法改正・最新判例などは,以下の記事にまとめています。

 

 

 

 

松本 雅典

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