前回の解散・清算の記述の問題でまず最も注意することは?(1)の続きの記事です。
前回の記事に記載したとおり,解散・清算が記述で出題された場合,まず「いつ」「どのような事由で」解散したのかを誤らないでいただきたいです。
【株式会社の解散事由】
すべての解散事由を挙げましたが,これらのうち,当該株式会社が解散登記を申請するのは,1・2・3のみです。
では, 1・2・3のどれに注意するべきでしょうか。
1・2です(特に1)
3の場合,株主総会の特別決議が必要ですので,解散を決議した株主総会議事録が示されます(聴取記録で解散を決議したことが示される可能性も少しあります)。
よって,見落とすことはほとんどありません。
それに対して,見落としやすいのが,1の「存続期間の満了」と2の「解散事由の発生」です。
いずれも登記事項ですから,記述の問題では別紙1の登記記録に記載されることになるでしょう。
「これらを設定する決議をして,登記を申請して,その後に存続期間が満了し(または解散事由が発生し),解散」という問題は,バレバレになりますし,かなり無理矢理の事案になりますので,あまり考えられません。
なお,2の「解散事由の発生」で解散する場合は,別紙1の登記記録以外に,問題文のどこかに解散事由が発生したことを示さなければなりませんが,聴取記録にある確率が高いでしょう。
それに対して,1の「存続期間の満了」であれば,別紙1の登記記録に存続期間を示せばよいだけですから,情報が1つ少なくなります。
よって,特に1の「存続期間の満了」に注意してください。
絶対に落としていただきたくないので,別紙1の登記記録の「存続期間」または「解散事由」にアンダーラインまたはマーカーを引きましょう……………ではお金を取っていい講師ではなくなってしまいます。
「記述のポイントを落とさないように,記述の問題文にアンダーラインまたはマーカーを引きましょう」なんてことは,誰でも言えます。
合格前の私,つまり,受験生時代の私でさえそんなことは言えました。
もちろん,アンダーライン・マーカーも引いていただくのですが,それだけでは結局落としてしまいます。
アンダーラインまたはマーカーを引いても,その後に,「この決議は決議要件を充たしているかな」「補欠役員の任期の起算点って,いつだったっけ」「自己株式処分差損があって増加する資本金の額の計算が面倒だな」など,色んなことを検討します。
そこで,どうするか。
別紙1の登記記録で「存続期間」または「解散事由」を見た瞬間に,答案用紙に以下のように書き込んでください。
【存続期間の場合】
【解散事由の場合】
こうしておけば,後で必ず思い出します。
私の解き方の場合,登記記録からみていくことになりますので,商業登記(記述)を解き始めて1分以内に上記の書き込みをすることになります。
「すべて問題文を読んでからでないと,答案用紙に記載しない」という固定観念は捨ててください。
問題を検討中でも,答案用紙にボールペンで書き込んで大丈夫です。
間違っていたら二重線で消せばよいだけですから。
また,登記の事由や登記すべき事項は,どのような順番で書いても構いませんので(年月日順に書く必要もありませんし,役員区など区ごとに書く必要もありません),その点も気にする必要はありません。
先日,平成26年度の開示請求答案の分析が終了しましたが,平成26年度も同様でした(※)。
※私は,ブログやTwitterでの表現に相当気を遣っていますので,表現にも注意してお読みください。このように採点基準について言及するときに言い切るのは,まず間違いないものです。
今年度の本試験で,別紙1の登記記録に「存続期間」または「解散事由」があった場合は,上記のように答案用紙に書き込んでくださいね。
それで,7月5日の16時を過ぎてから,「そ,そういえば存続期間が登記されていた~」となることはありません。