どのような敗因分析をしましたか？(2)

単に「勉強不足」であったという分析はマズイと申し上げました。
よって，私は上記の3工程を経ることをお薦めしています。
しかし，「時間切れになり，それが原因で失敗した」とお考えの方も多いと思います。
ですが，漠然と「時間切れが原因で失敗した」とはお考えにならないで下さい。 
以下の2点をきちんと検討して下さい。
１. 本当に時間切れが原因で失敗したのか？
２. 事前に時間切れ対策を立てていたのか？

１. 本当に時間切れが原因で失敗したのか？

「時間切れが原因で失敗した」と言えるためには，以下の要件を満たす必要があります。
午前択一，午後択一および記述のうち，2つ以上は基準点以上の点数が獲れた（獲れていると思われる）
※択一の足切りにかかった方は，記述の点数がつかないため，このような表現になります。
逆に言えば，基準点以上の点数が獲れていないもの（いないと思われるもの）が2つ以上ある場合には，「時間切れが原因で失敗した」とは言えません。

「午後択一に時間を使いすぎて，記述の時間が足りず記述で失敗した」という方が最も多いと思われますが，その方は，午後択一は24問以上の点数を獲れていますでしょうか？
もし獲れていないのであれば，それは時間切れが原因で失敗したのではありません。
時間をかけても点数が獲れなかったという方は，「そもそも合格点を獲れるレベルに達していなかった」ということになります。
厳しい言い方で恐縮ですが，まずは「本当に時間切れが原因で失敗したのか？」を考える必要があります。
この時期は，予備校にとっては最大のかき入れ時（講座の申込み数が最も増える時期）ですので，多くの講師が受験生の方に甘いことばかり言います。
「あなたはきちんと勉強した。しかし，時間配分がまずかったんです」「あなたの努力は素晴らしかった。しかし，出題ミスに惑わされたんです」などということは，この時期に散見される典型的な商業用の甘い言葉です。
しかし，私は厳しい現実もきちんと伝えるべきだと考えています。
「本当に時間配分がまずかったんですか？　他に原因はないんですか？」と。
「午前択一，午後択一及び記述のうち，2つ以上は基準点以上の点数が獲れた（獲れていると思われる）」という方以外は，「時間切れが原因で失敗した」とは言えません。

松本 雅典