平成24年度司法書士試験の合格者の方から,合格体験記をお寄せ頂きました。 
直近の合格者の方の生の声が聴ける貴重な機会ですので,ぜひお読み下さい。
【J.M様 税理士兼団体職員 54歳】

1.受験動機
私は地方に在住する税理士兼サラリーマンです。44歳で税理士試験に官報合格したので、税理士登録をしました。本来、サラリーマンを退職し、税理士のみで生計を立てる道があるのですが、税理士としての稼ぎがあまり期待できないので、いまだ(54歳)サラリーマンです。
税理士登録後、税理士会支部の会合への参加や税理士先生との情報交換を通じて、数年は税理士業のみで家族を養っていくことは困難であることがわかってきました。独立しても3年間ぐらいは年収200万円程度であり、扶養家族があれば完全独立は困難であると判断しました。ですから今現在、兼業ですが、税理士としての収入は所得税の確定申告代理等で50万円ぐらいしかありません。また、当支部の税理士は国税OBが5割ぐらい、大学院科目一部免除の世襲税理士が2・3割ぐらいで、純粋な試験組はせいぜい1割か2割であることもわかりました。また、各先生と接して、コネなしの純粋な試験組の収入が一番少ないと思われました。
税理士業界も新自由主義的潮流の今の日本の世相を反映し、国会議員など政界と同じで「官」と「世襲」が支配しているといってよいでしょう。
そういった中で、付加価値として企業には会計税務のほかに商業登記などの企業法務サポートを、個人に対しては税務のほかに不動産登記や相続・遺言アドバイスができればと考え、司法書士試験にチャレンジすることを47歳で決意しました。
2.受験歴
(1)平成19年度
平成18年1月から勉強を開始しました。とりあえず基本書(「デュープロセス」竹下先生)を1回程度読み、その後、過去問を何回も解き・解説を読むことにより、知識を吸収する方法でした。5回転ぐらいは解説のみしか読みませんでしたが、6回転目から基本書の該当箇所を熟読し、かつ、条文も合わせて読みました。過去問重視は「司法書士7カ月合格法:」(柴田幸さん)の本に啓発されたことによります。確かに漫然とテキストを読むより、いきなり問題を解くほうが、理解も記憶もすすむような気がします。
記述については、市販の問題集を3回ぐらいとき、LECの公開模試を通信で3回受けました。
その結果、択一午前29問、択一午後28問、記述28点で1回目としてはまずまずの結果を上げることができました。
(2)平成20年度、21年度
1回目の結果に慢心したせいか、2回とも択一で基準点に達しませんでした。平成20年度は午前択一商法、平成21年度は午後の民事訴訟法でつまずきました。
    
(3)平成22年度
択一は過去問、早稲田セミナーの択一問題集及び答案練習の問題を解きまくりました。また、早稲田セミナーのジャンプコースで答案練習をしました。一方、記述式は市販の問題集と答案練習の問題を2月から毎日1問練習しました。その結果、択一は合計で基準7問超でしたが、記述は0.5点基準に達しませんでした。記述の商業登記で会社の新設分割か出題され、しかも、商号変更がともなっており、頭が混乱しほぼ答案崩壊状態で10点でした。組織再編については、テキストでは読んでおりますが、実際に書いたことがなかったので、なんとなく書いたという状態でした。しかし、記述0.5点不足はショックでした。
(4)平成23年度
勉強方法は今までと同じです。この年、早稲田セミナーの公開模試は3回とも上位でした。特に最後の模試は全国1位でした。本試験の結果については、択一は合計で基準6問超でしたが、記述は4点基準に達しませんでした。記述の不動産登記は株式会社の代表取締役の記載もれで3点ぐらい減点となり、さらに商業登記は、またしても10点でした。本店移転のノーマーク、登記できない事項の誤りによる連鎖的減点、字句の誤りや余剰記載などで厳格に採点された結果ではないかと推認します。
(5)平成24年度
勉強方法はなんら変わりません。また、2回とも失敗した商業登記については、時間のロスとなる別用紙へのメモ書きをやめ、問題文にメモやラインを引くなどの方法に解き方を変更しました。これにより時間の節約はできました。この年3月、財団法人へ出向となりました。そこで、一般財団法人への移行登記を検討しましたが、この移行登記は特例有限会社の株式会社への移行登記と類似しております。定款附則による代表者の選定、役員の就任年月日の記載不要などそっくりです。
平成24年度択一は基準より6問超で記述は48点、計228点で合格しました。商業登記記述は本当にラッキーでした。択一基準5問以上超で不合格の方が多い実態から有限会社の移行は出題がないと思った受験者多いと思います。ある講師のブログでは設立と同様、簡単という意見もありますが、実際書くとなると、得点獲得が容易ではないのが現実ではないでしょうか?
3.勉強法
6回目で合格ですので、参考にならないと思います。私は経済学部出身で法律はど素人です。そこで、各科目の勉強した感想を述べたいと思います。
民法は1年ぐらい勉強してやっと8割ぐらい正解できるようになりました。民法は単なる暗記ではなく、体系的に理解がないと高得点は期待できません。しかし、いったんこの壁を乗り越えると、おもしろい科目です。民法はシステマチックであり、過去問、問題集や受験校の答案練習の問題を毎日、解けば必ず力がつきます。いったん力がつくと、安定的に得点ができます。
商法は会社法の施行により過去問が多くありませんので、受験校の答案練習の問題を中心に勉強しました。基本テキストについては、平成22年度以降は山本先生のオートマにしました。条文は他の条文を参照しなければ、理解できず、あまりに非効率なので、ほとんど読みませんでした。また、得点も安定しませんでした。平成22、23、24年度とも本試験で2問間違えました。
不動産登記については、はじめはなじめませんが、8か月程度勉強すると択一の問題の正解率が向上します。暗記科目のようにみえますが、そうではないと思います。極力、書式を書いてなれるようにしました。記述式で注意したいのは、登記名義人の氏名、名称、住所の変更・更正を先に登記するなど、登記の順番を間違えないことです。記述式の問題は山村拓也先生の著書「うかる! 司法書士 記述式 答案構成力 不動産登記 [実戦編]」を参考に、答案構成用紙にメモ書きの方式で解きました。
商業登記の択一式は受験校の答案練習や市販の問題集を中心に勉強しました。商法と同様に得点は安定しませんでした。また、記述式も受験校の答案練習や市販の問題集を中心に勉強しました。基本テキストはあまり活用しませんでした。
憲法、刑法は息抜き気分で勉強しました。刑法は過去問、憲法は受験校の答案練習や市販の問題集を中心に勉強しました。
民事訴訟法・執行法・保全法は午後択一の最初に出題されます。マイナー科目とはいえないくらい重要です。また、テキストを読んでもなにもなかなか理解できません。午後択一で高得点を得るのは、丁寧に勉強する必要があります。
供託は意外に体系的であり、点数をとりやすい科目です。過去問を中心に勉強しました。
総じて、年々問題は難しくなっております。平成24年度は例外ではないかと思います。民法及び商法の択一は新司法試験の択一で合格点をとるより困難ではないかと思います。
毎年、優秀な人が多く不合格となり、受験者が優秀すぎて、問題を難しくしないと、点差がつきにくいからではないかと思います。
4.最後に
勉強時間は1日3時間から4時間でした。大切なのは毎日勉強することだと思います。税理士試験は毎年、1科目ずつ確実に合格しましたが、司法書士試験は、合格率が低く、合格するのは大変だと思いました。仮に受験専念でも簡単に受からないと思いました。
1年目は、合格点まで9点差でしたので、2回目で合格できると思っておりました。思えば長い道のりでした。数点足りず複数年不合格となる人が多いのもこの試験の特徴だと思います。特に記述式については、「1つの事由の過ちで連鎖的に減点となり、知識不足でなにも書かない答案のほうが、減点が少ないという現象」が、実力のある人がなかなか合格できない大きい原因ではないかと思います。しかし、司法書士試験の科目は税理士試験の簿記論のような複雑な思考能力は必要ではなく、努力しだいでだれでも合格できると思います。数学や物理の大学受験問題より思考力という点では司法書士試験は簡単だと思います。
今後、司法書士登録をして、税理士兼司法書士として社会にお役立ちしたいと思います。最後に受験生の皆様の検討を祈ります。

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