今日は、昨日書いたその場で考えるということを今年の問題を例に書いてみます。
※見やすさ・説明のしやすさを考えて,一部形式を変更しています。
(平成23年午後)
第23間 不動産登記法上の罰則に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 所有権の移転の登記の申請の際に登記義務者の登記識別情報を提供することができない場合において、当該登記の申請の委任を受けた司法書士が,登記官に対し、 申請人が登記義務者であることを確認するために必要な情報について虚偽の情報の提供をしたときは,刑事罰を科せられることがある。
イ 登記の申請の委任を受けた司法書士が,依頼者が登記義務者本人であること又は登記権利者本人であることの確認を怠って登記を申請した場合には,確認を怠ったことについて刑事罰を科せられることがある。
ウ 司法書士法人が根抵当権の設定の登記の申請の委任を受けたが,登記義務者の登記識別情報を提供することができない場合において,当該司法書士法人の社員が,登記官に対し,申請人が登記義務者であることを確認するために必要な情報について虚偽の情報を提供したとしても,当該司法書士法人は,刑事罰を科せられることはない。
エ 登記簿に不実の記録をさせることとなる登記の申請の用に供する目的で,申請人と偽って登記所が交付する登記識別情報を不正に受け取った者は,刑事罰を科せられることがある。
オ 登記簿に不実の記録をさせることとなる登記の申請の用に供する目的がなくても,不正に取得された登記識別情報を保管していた者は,刑事罰を科せられることがある。
1 アイ 2 アエ 3 イオ 4 ウエ 5 ウオ
この時点でほとんどの方が判ったと思いますが,推理するポイントは1個だけです(②もあると,より答えを出しやすいですが,なくても大丈夫です)。
①赤字にした個所に下線を引けたか
②法人でも,罰金刑は科せられることを知っていたか
問題冒頭の「罰則」を読んだ時点で,刑法の考え方を思い出す必要があります。
刑法の大原則は,
罪を犯す意思がない行為は、罰しない(刑法38条1項本文)
であることは,誰でも知ってますよね。
他の法律の罰則規定も,この大原則が当てはまります。
本問に当てはめます。
アとウの「虚偽の情報の提供をした」(=故意)のと「確認を怠った」(=過失)のはどっちが刑事罰を科せられそうですか?
「司法書士は,専門家として高度な責任を負わされているから両方だ」と思うかもしれませんが,個数問題ではなく組合せ問題なんですから,比較して下さい。
エとオも,どう見てもエの方が悪そうですね。
そもそも,オは,保管していた者が不正に取得された登記識別情報であるかを知っていたかどうかさえ定かではありませんし。
最後に②の知識もあれば,ウが誤りだと判断しやすいです。
他の試験の勉強をされていた方は,ご存知かもしれませんね。
(ちなみに,イの知識は,登記事務所に勤めている人は知っています。日常業務に絡む重要なことですから)
この推理は,かなり簡単な部類です。
カコ問知識で解ける問題をAランクとするなら,Aランクです。
ですから,午前よりは1問にかけられる時間が少ない午後であっても,正解するべきです。
推理をする上で,基本となる当たり前のことを書いておきます。
択一は,〇か☓しかない,所詮は2択
「あいまいな知識があっては受からない」etc.とウソをつく人がいるので,この基本を意識してない人がいますが,「〇っぽいな~」「☓っぽいな~」でいいんです。
資格試験なんて,全てを正確に理解しているかどうかなんて関係ありません。
受かれば,なんだっていいんです(不正行為はダメですよ)
「これを暴論だ」と言う人は,メルヘンチックなバカです。
社会は,結果しか見ません。
努力してきたとか,法律に詳しいとか言っても,資格がなければ世間は信用してくれません。
おかしいと思うかもしれませんが,みなさんもそうですよね?
6月18日(土)の講義も,僕が合格しているからあれだけの人数の方が残ってくれたわけです。
合格していなかったら,同じように精神分析学・脳科学に基づく話をしても,教室には1人もいなかったでしょう。
来年の試験を受けようと思っている方は,
本試験当日に,合格最低点以上を取ることだけを考えて下さい。
あとは,どうでもいいです。
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