民法(債権法)改正成立

本日(5月26日〔金〕),民法(債権法)改正が成立しました。

 

明治時代に民法が制定されて以降,最も大きな大改正です。

 

「債権法」の改正といわれていますが,意思表示や時効など総則もかなり変わります。

物権と家族法(親族・相続)は,ほとんど変わりません。

『リアリスティック民法』でいうと,Ⅰ・Ⅲが大きく変わるとお考えください。

 

 

司法書士試験の改正法の出題はいつから?

みなさんが最も気になるのは,「いつから改正法で出題されるの?」ということだと思います。

成立した改正案の附則には,以下のように規定されています。

 

 

附則第一条(施行期日)

この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

一 附則第三十七条の規定 公布の日

二 附則第三十三条第三項の規定 公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日

三 附則第二十一条第二項及び第三項の規定 公布の日から起算して二年九月を超えない範囲内において政令で定める日

 

 

■平成29年6月3日追記
平成29年6月2日,官報で公布されました。

平成29年6月2日から3年以内に施行です。

 

 

実務に多大な影響を与える改正ですので,すぐに施行されることはないと考えられています。

 

司法書士試験は,基本的には,その年度の4月1日に施行されている法令に基づいて実施されます。

平成32年(2020年)1月や4月1日に施行されたとすると,以下のようになるでしょうか。

 

現行法・改正法の出題(予想)
平成29年度(2017年度) 現行法(確定)
平成30年度(2018年度) 現行法
平成31年度(2019年度) 現行法
平成32年度(2020年度) 改正法

 

 

施行が平成32年(2020年)5月ということも考えられなくはありませんが,その場合でも,平成32年度(2020年度)の司法書士試験は,改正法で出題される確率が高いと思われます。

平成26年の会社法の改正は,平成27年5月1日に施行されましたが,法務省から事前に発表があり,平成27年度の司法書士試験は改正法で行われました。

同様の措置が考えられます。

 

なお,確率はかなり低いと思いますが,平成31年度も,事前発表があり「施行されていないが,改正法で出題するよ」となる可能性もゼロではありません。

 

 

受験生の方の改正法の学習

受験生の方は,現行法で学習をしてください。

 

私の基礎講座は,これから辰已法律研究所さんの方と話し合い決定しますが,私としては以下のように考えています。

 

「平成31年度(2019年度)向けの講座までは現行法で講義を行う

 平成32年度(2020年度)向けの講座から改正法で講義を行う」

 

平成31年度以前についても,万が一,法務省から「施行されていないが,改正法で出題するよ」という事前発表がありましたら,即座に対応しますので,ご安心ください。

5~6年間ずっと改正法の学習を続けていますので,いつでも対応できるよう準備できています。

 

 

ということで,現状は現行法で学習を続けていただければ結構なのですが,改正法を意識した出題が考えられます。

平成28年度も,改正法を意識した出題(改正される条文,明文化される判例などの出題)が多数ありました。

予備校の講座を受講される方は,講師が改正法を意識したうえで講義をしますので,問題ありません。

また,『司法書士試験 リアリスティック民法Ⅰ[総則]』『司法書士試験 リアリスティック民法Ⅲ[債権・親族・相続]』は,昨年発売とかなり新しい民法のテキストなので,改正点に触れている箇所もあります。

もちろん,現行法に規定のない「約款」についての記載などはありませんが,現行法のおかしな箇所などは,以下のようにどのように改正されるかなどを記載しています。

 

 

『司法書士試験 リアリスティック民法Ⅰ[総則]』P244

 

 

改正法での出題までは,『リアリスティック民法』を普通にお使いいただければ問題ありません。

 

 

改正法の学習をしたい方

合格者の方や今年度の本試験後に改正法の学習をしたい方もいらっしゃると思います。

 

まず,条文を入手してください。

 

 

民法の一部を改正する法律案・新旧対照条文(PDF)

 

 

姫野先生に教えていただいた,以下の“旧新”対照表も便利です。

 

 

次に解説書ですが,講師のように中間試案や民法(債権関係)部会の会議録を読んでいくというのはやりすぎなので……,まずは以下の書籍が,網羅的ではありませんが,事例(弁護士さんが書いているので実務に即した事例となっています)を基に説明しているので,とっつきやすいと思います。

 

 

その後は,法制審議会民法のメンバーである潮見先生の以下の書籍。

改正案を作った先生の書籍であり,改正法の学習を続けている人は,ほぼ全員が読んでいます。

 

 

ただ,現行法およびその問題点を理解しているのが前提の記述なので,合格レベルの方や民法の学者本を読んでいる方でないと,少し難しいと思います。

 

 

 

松本 雅典