先日成立した上記の相続法の改正ですが,以下の規定は「公布の日から起算して6か月を経過した日に施行」されます。

相続法の改正は,2018年7月13日に公布されていますので,2019年1月13日に施行されるということです。

よって,2019年度の出題範囲となること(*)が確定しています。

*(8月5日追記)当初「出題が確定している」という表記でしたが、「範囲となること」を追記しました。タイトルも同様の修正を行いました。「出題が確定している」だと、問題として出るという表現になってしまいます。申し訳ありません。姫野先生からご指摘いただきました。

*2019年度向けの講座ではすでに説明されています。私の基礎講座では,遺言の講義(民法26回)の時点で判明していたので,書き込みで説明しました。遺言の講義が終了してしまっていた講座では,補講がすでに実施されているはずですので,ご安心ください。

 

 

新法 現行法
新民法968条(自筆証書遺言)
1 自筆証書によって遺言をするには,遺言者が,その全文,日付及び氏名を自書し,これに印を押さなければならない。
民法968条(自筆証書遺言)
(同上)
 前項の規定にかかわらず,自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には,その目録については,自書することを要しない。この場合において,遺言者は,その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては,その両面)に署名し,印を押さなければならない。
(新設)
 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は,遺言者が,その場所を指示し,これを変更した旨を付記して特にこれに署名し,かつ,その変更の場所に印を押さなければ,その効力を生じない。
 自筆証書中の加除その他の変更は,遺言者が,その場所を指示し,これを変更した旨を付記して特にこれに署名し,かつ,その変更の場所に印を押さなければ,その効力を生じない。
新民法970条(秘密証書遺言)
(略)
民法970条(秘密証書遺言)
(同上)
2 第968条第3項の規定は,秘密証書による遺言について準用する。
2 第968条第2項の規定は,秘密証書による遺言について準用する。
新民法982条(普通の方式による遺言の規定の準用)
第968条第3項及び第973条から第975条までの規定は,第976条から前条までの規定による遺言について準用する。
民法982条(普通の方式による遺言の規定の準用)
第968条第2項及び第973条から第975条までの規定は,第976条から前条までの規定による遺言について準用する。

 

 

新民法970条と新民法982条は,条文の項数がズレただけです。

把握していただきたいのは,新民法968条2項です。

ポイントは,以下のとおりです。

 

 

【自筆証書遺言】

①相続財産の目録については自書が不要に(新民法968条2項前段)

現行法では,自筆証書遺言のすべてを自書する必要があります(民法968条1項)。

遺言は徐々に増えてきており,自筆証書遺言を使いやすいものにする必要があります。

しかし,不動産の表示などを正確に書くのは大変です。

そこで,相続財産の目録については自書が不要となります。

 

②自書をしなかった相続財産の目録については目録の毎葉(毎ページ)に署名し押印する必要あり(新民法968条2項後段)

たとえば,「別紙目録記載の財産を長男Bに相続させる」というAの遺言があり,目録に甲土地の表示がされていた場合に,遺言を見つけたBが,「甲土地だけでなく,あらゆる財産を記載した目録に差し替えちゃおう……」といったことができないようにするための規定です。

 

③自書によらない記載が両面にある場合は両面に署名し押印する必要あり(新民法968条2項後段かっこ書)

裏面があったら,裏面にも署名し押印しろってことです。

上記②の例で,Aの署名と押印が目録にあっても,長男Bが,「甲土地だけでなく,あらゆる財産を目録の裏面に印字しちゃおう……」といったこともできないようにするための規定です。

ちゃんと,裏面に印字することまで考えているんですね。

 

 

2019年度向けの私の基礎講座を受講されておらず,『リアリスティック民法Ⅲ』をお使いの方は,P492の1.に,上記の説明をコピーして貼り付けていただくか,書き込んでください。

 

 

 

その他の民法の改正については,以下の動画をご覧ください。

 

 

改正対策のプロが語る!民法の3つの改正(債権法・相続法・成人年齢)の概要と試験への影響

―知らなければ不安が募るだけ→いま知る!―

*公開講座内で使用しているレジュメはこちら(PDF)からご覧いただけます。

 

 

 

 

なお,『リアリスティック民法』の誤植については,以下の記事をご覧ください。

ご迷惑をおかけしまして,申し訳ありません。

 

 

 

『リアリスティック民法Ⅲ』の発売後の判例変更については,下のPDFデータのご確認をお願いいたします。

 

遺産の共有・遺産分割についての判例変更(PDF)

 

 

 

松本 雅典