これまで,相続開始によって,預金債権は当然に分割されるとされていました(最判昭29.4.8など。『リアリスティック民法Ⅲ』P469ex1.,『Realistic Text 民法Ⅱ』P363②)。*
*相続人全員が合意すれば遺産分割の対象とすることもでき,実際に遺産分割の対象とすることはよくあります。ただし,相続人全員の合意がなければ,当然に分割されます。
よって,遺産分割をする前に,相続人の1人が銀行に行って,自分の相続分の預金を引き出すことができました(実際には,遺産分割協議書などがないと引出しに応じない銀行が多いですが……)。
本日平成28年12月19日,最高裁の決定があり,判例が変更されました。

【決定要旨】(最大決平28.12.19)
共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となる

決定全文は,こちら(PDF)からご覧になれます。
判例変更がされたのは,以下のような理由によります。
この決定の事案のように,相続人の一部に特別受益がある(ex. 生前贈与を受けている)場合に,預金債権が遺産分割の対象とならないと,特別受益がある相続人が不当に多くの財産を得る(預金は法定相続分に従って承継することができる)ことになってしまいます。
また,もとから預金ではない現金(ex. 自宅にある現ナマ)は遺産分割の対象とされていました。
現金は,遺産分割の調整用に使うことが多いからです(『リアリスティック民法Ⅲ』P469~470cf.,『Realistic Text 民法Ⅱ』P363)。
預金と現金を区別しているのは,債権かどうかです。
預金は銀行に対する債権ですが,現金は債権ではありません。
しかし,預金も遺産分割の調整用に使えるのは同じです。
それに,預金が債権であっても,「家に現ナマを置いておくのが危ないから銀行に預けておこう」という感覚の人が多いですから,現金とあまり変わらず,金銭と区別する意味はありません。

これが,決定の理由の4.(1)(P2~4)に書かれている理由をかなりざっくりと説明したものです。
ただ,相続人間の公平ははかられることになったと思いますが,共同相続の場合は預金について遺産分割をしなければならなくなり,合意がされなければ家庭裁判所での調停や審判が必要になるかと思います。
相続人が預金を手にするのに時間がかかる事案が増えると思われます。
 

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松本 雅典
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