直前期(4月~6月)が近づき,苦手分野についてのご相談が講座専用ブログで増えてきたので,このブログでも克服法をシェアしておきます。
苦手分野を見極める
まず,苦手分野を見極める必要があります。
以下の2点にご注意ください。
1.苦手“科目”ではなく苦手“分野”ではないのか
漠然と「不動産登記法が苦手です」「会社法が苦手です」とおっしゃる方が多いですが,実は仮登記だったり信託だったり持分会社だったり,特定の分野のみ苦手な方が多いです。
テキストの章や節の単位で,苦手か考えてください。
2.主観ではなく客観で判断する
たとえば,「私は供託法を体系的に理解していて得意です」と言える方は,まずいないと思います。
供託法の予備校テキストは100ページほどですが,講師が読んでいる供託法の書籍は,たとえば,以下のような分量があります。
講師は絶対に読んでいる書籍です。
1000ページ以上あります……。
このような書籍(他にも何冊もありますが)を基に,テキストは抜粋して作られているので,どうしてもつまみ食いになり,供託法を体系的に真に理解することは,司法書士試験の勉強では難しいです。
でも,合格者の方のほとんどは,供託法を3問正解します。
平成29年度は少しだけ難易度が上がったので違うかもしれませんが,これまで,合格者の方の成績通知で供託法の欄が「9」以外は見た記憶がありません。
供託法は,難しい問題がほとんど出ないからです。
つまり,問題が解ければいいんです。
過去問の正答率で,苦手分野かを判断してください。
克服法
一般的な苦手分野の克服法は,以下の方法があります。
1. その分野の講義を聴き直す
テキストや過去問を解いて,それでも苦手意識が残っている(理解できないことが多い)場合,講義を聴き直すと頭が整理できることが多いです。
私のクラスの合格者の方では,その年度向けに(*)全科目を聴き直した方はいませんが,「不動産登記法のみ」「会社法・商業登記法のみ」など,1~2科目,講義を聴き直した方は毎年何名もいます。
*次の年度に全科目を聴き直した方は何名もいます。
2. その分野のテキストの該当ページを1~2週間毎日読む
毎日触れているうちに,少しずつ理解できてきます。
3. その分野の過去問のみ回し,過去問を完璧にする
過去問を完璧にするだけで,本試験でその分野の問題を6~7割の確率で正解できます。
また,その過程で,苦手意識が克服されることがあります。
4. 細かいことは置いておき単純化して考える
たとえば,仮登記が苦手な場合,2号仮登記の以下の(1)~(3)の分類は1度置いておきます。
そして,「2号仮登記は,権利変動は生じておらず,その前段階までしかいっていない」という理解(大枠の理解)を基に,仮登記の章(ⅡのテキストP240~299)を読み直します。
5. カギとなる箇所を暗記してしまう
苦手な方が非常に多い仮登記の処分のポイントは,以下のとおりです。
そこで,以下の箇所と図をソラでいえるようにしてから,テキストを読むようにしてみてください。
松本 雅典