「持分」という意味を正確に理解しているでしょうか?(2)

不動産登記法


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今日の記事は,「持分」という意味を正確に理解しているでしょうか?(1)という記事の続編です。
先日の記事に引き続き,「(1)なんてもはや記憶にもない!」という方もいらっしゃると思いますので,よろしければ,上記の記事からご覧下さい。
上記の記事のポイントは,以下のことです。
A・B・Cが90㎡の土地を共有している場合には,A・B・Cそれぞれが,90㎡すべてを使うことができるのであって,西側30㎡とかを所有しているわけではない。つまり,持分とはあくまで共同所有という概念の話であり,物理的な話ではない
 
これが,持分についてきちんと理解して頂きたい,最も重要なことです。
そして,これを本当に理解していると何の役に立つのかということで,以下の問題を出して,既に約1か月が経過してしまいました。
1.所有権一部移転の登記は可能だが,不動産の一部を譲り渡した場合の登記は,分筆又は分割の登記をしてからでないとできないのはなぜなのか?

2.敷地権付き区分建物について所有権保存の登記や所有権移転の登記をするときに,建物については単純に課税価格に4/1000や20/1000をかけるだけなのに,土地については課税価格に敷地権の割合(10000分の500など)をかけるなんて面倒なことをしなければならないのはなぜなのか?

(けっこう法律の話をしていますが,みなさんちゃんと読んでくれていますでしょうか? まあガンガン法律知識が出てくる姫野先生のブログを読まれている方は,この程度であれば軽くついてきて頂いていると思いますが(笑))
1について
登記記録は,不動産ごとに作成されます。
※できれば,表題部から権利部まで掲載されているテキストのページを開いて下さい(平成26年度向けリアリスティック一発合格松本基礎講座の受講生の方であれば『Realistic Text 不動産登記法Ⅰ』のP6,平成25年度向けリアリスティック一発合格松本基礎講座の受講生の方であれば『Realistic Text 不動産登記法』のP6を開けて下さい)
表題部に不動産を特定する情報が記載されており,その下にある権利部が,上の表題部で特定した不動産についての権利ということです。
登記記録をご覧になりながら考えて頂きたいのですが,「西側30㎡移転」などということを公示できるでしょうか? 
まあ目的が「西側30㎡移転」とかいう登記があれば可能かもしれませんが,そんな目的は見たことがないでしょう。
つまり,登記記録を物理的に考えると(表題部から考えると),登記記録は不動産1個すべてについての権利を公示しているのであり,一部についての公示は原則として現在の制度上はできないのです。
例外は,地役権設定の登記です(不登令20条4項。平成26年度向けリアリスティック一発合格松本基礎講座の受講生の方は『Realistic Text 不動産登記法Ⅱ』のP263,平成25年度向けリアリスティック一発合格松本基礎講座の受講生の方は『Realistic Text 不動産登記法』のP536を開けて下さい
それに対して,所有権一部移転の登記は可能です。
その理由は,冒頭で申し上げましたとおり,持分は物理的な話ではないため,たとえば,AがBに所有権の3分の1を移転したとしても,西側30㎡を移転したわけではないので,公示上問題がありません。
この登記により,A持分3分の2・B持分3分の1で共有している登記記録になります。
持分とはあくまで共同所有という概念ですので,Aが東側60㎡・Bが西側30㎡を使うわけではなく,双方が不動産すべてを使うことができます(民法249条)。
登記記録は,不動産1個すべてについての権利を公示していますが,上記の持分という概念と何ら抵触しません。
このように「持分」という概念をきちんと理解することにより,「所有権一部移転の登記」と「不動産の一部を譲り渡した場合の登記」の違いがわかります。
この違いはけっこう出ますが,理解して頂いたみなさんは,本試験で間違えないで下さいね。
間違えたら,ショックです…。
 
2も書こうと思ったんですが,もうそろそろ講義に行かないといけませんので,2はまた後日ということでお許し下さい。 
 
(今日のリアリスティックなつぶやき)
1で疲れたみなさんは,『僕らのユリイカ』で癒されて下さい。

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