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司法試験受験経験者の方が司法書士試験で苦戦する理由-不動産登記法・商業登記法編

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上記の記事で「私(松本)の知る限り,司法試験から司法書士試験に転向され,1回で合格した方は1人しかいない」と申し上げました。
その原因を探っていきたいと思います。
私は,以下の2つの原因があると考えています。
1.司法試験科目と登記法(不動産登記法・商業登記法)とのギャップ
2.モチベーション

この記事では,「1.司法試験科目と登記法(不動産登記法・商業登記法)とのギャップ」について記載します。
1.司法試験科目と登記法(不動産登記法・商業登記法)とのギャップ
不動産登記法は午後択一で16/35問,商業登記法は午後択一で8/35問出題されます。
また,午後では記述が2問出題されますが,記述は不動産登記(記述)1問・商業登記(記述)1問です。
よって,不動産登記法と商業登記法の試験全体に対する配点は,以下のようになります。
142/280点(50.7%)
(内訳)
不動産登記法・択一:48点(3点✕16問)
商業登記法・択一:24点(3点✕8問)
不動産登記(記述)・商業登記(記述):70点
(注)不動産登記法には民法の知識が,商業登記法には会社法の知識が不可欠ですので(また,不動産登記〔記述〕においては,民事訴訟法・民事執行法・民事保全法の知識が要求される可能性もあります),純粋に不動産登記法および商業登記法のみで50.7%の配点があるとは言い難い面もあります。

これだけの配点がありますので,不動産登記法・商業登記法を合格レベルに持っていかなければ合格はできません。
ところが,この不動産登記法・商業登記法は,みなさんが司法試験のために学習してきた科目と性質が異なります。
何が最も異なるかというと,これです。
学問としての研究が進んでいない
司法試験で出題される科目は,学問としての研究が進んでいます。
たとえば,民法や刑法などは腐るほど学者の書籍があるということは,もちろん,ご存知でしょう。
これに対して,不動産登記法や商業登記法もないわけではありませんが(不動産登記法でいえば,物権法の山野目先生などの書籍はあります),司法試験の科目に比べ,はるかに少ないのです。
学問としての研究が進んでいないことの何が問題かというと,「理由・趣旨が少ない」「学者による統一された思考を学びにくい」ということになります。
そこで,「不動産登記法・商業登記法は,ひたすら単純暗記の科目だ」と言われることがあります。
しかし,実はそれは間違いです。
以下の記事に記載しましたとおり,(民法などと同じであるとは言えませんが),「一貫した考え方」はあるのです。
不動産登記法こそパンデクテン方式で(1)
不動産登記法こそパンデクテン方式で(2)
不動産登記法こそパンデクテン方式で(3)
cf. 不動産登記法の申請書(ひな形)の記憶の前に
「不動産登記法・商業登記法は,ひたすら単純暗記の科目だ」と思ってしまうか,「一貫した考え方」を意識して学習できるかで,不動産登記法・商業登記法の伸び率がまるで異なるものとなります。
前者になってしまう方が多いのが現状です。
また,民法などに比べると探すのは大変ですが(学者本が少ないため),理由・趣旨を記載した書籍もあるため,講師の予習次第で,受験生の方は理由・趣旨を多く仕入れることができます。
松本 雅典




本試験詳細分析会
レジュメはこちら(PDF)からご覧いただけます。プリントアウトし,ガイダンスをご覧下さい。

中上級者もリアリスティック式で
レジュメはこちら(PDF)からご覧いただけます。プリントアウトし,ガイダンスをご覧下さい。平成26年度司法書士試験の不動産登記(記述)の枠ズレの採点方法(松本の推測)も示しています。

 


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