不動産登記法こそパンデクテン方式で(3)

不動産登記法
3日間にわたる話がやっと終わります。
「不動産登記法こそパンデクテン方式で学習するべきだ」という話をしていますが,一昨日および昨日の記事で民法のパンデクテン方式についてご説明しました。
※お読みでない方は,お先に以下の記事をお読み下さい。
不動産登記法こそパンデクテン方式で(1)
では,パンデクテン方式(共通項を取り出して前に持ってくる)はご理解いただけたということで,それをどのように不動産登記法に当てはめていくのかをご説明していきます。
不動産登記法は,たしかに,民法のように理由や趣旨が多くはありません。
手続法であることや研究している学者が少ないことなどが原因です。
この点が,司法試験から転向した方が躓く原因となります。
しかし,不動産登記法は,実際に実務で使われているのです。
それに従って,登記官,司法書士,土地家屋調査士さんなどは日々の業務を行っています。
つまり,これらの者にわかりくいものであってはならないのです。
よって,“一貫したルール”は存在します。
たしかに,民法は学者本がくさるほどありますので,そのほとんどに理由や趣旨があります。
しかし,「一貫したルール」という点では,不動産登記法のほうが多いと私は考えています。
(注)もちろん,基本的に先例は単発で出ますので,必ずしも一貫したルールで説明できない知識もあります。
よって,実は,パンデクテン方式(共通項を取り出して前に持ってくる)という方法が最も活きるのは,不動産登記法であると考えることができます。
実際に私の不動産登記法の講義は,この思想で進めています。
基本的な例を挙げると「添付情報の提供の要否」があります。

(平成26年度向け『Realistic Text 不動産登記法Ⅰ』P82)より一部抜粋

(平成26年度向け『Realistic Text 不動産登記法Ⅰ』P87)より一部抜粋


各論において添付情報の提供の要否を考えるときは,登記ごとに考えるのではなく,このような「共通項を取り出したところ」に戻ります。
添付情報以外にも,この視点は多数存在します。
たとえば,担保権の登記事項では,以下のような共通項を取り出すことができます。

(平成26年度向け『Realistic Text 不動産登記法Ⅱ』P8)より一部抜粋


各担保権の登記事項を考えるときは,これを軸に記憶します。
もう1つくらい例を挙げると,抵当権設定の登記の登記原因及びその日付は,「年月日金銭消費貸借年月日設定」「年月日保証委託契約による求償債権年月日設定」などいくつか記憶する必要があります。
単に記憶するのは苦行ですので,まず以下のような考え方を学ぶ必要があります。

(平成26年度向け『Realistic Text 不動産登記法Ⅱ』P3)より一部抜粋


これを基準に,債権契約と物権契約を考えていきます。
不動産登記法は,このようにパンデクテン方式で学習するのがベストです。
また,不動産登記法の問題は,横断的に知識を問われることが非常に多いこともこの学習方法を採る理由となります。
受験経験のある方はご存知でしょう(受験経験のない方は,この時点で知っておいて下さい。これは,不動産登記法の勉強法を考えるにあたって非常に重要な要素となります)。



松本 雅典

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