「知らない肢」「予想外の記述の出題」→「16:00までは信じてください」

平成29年度(2017年度)司法書士試験

目次

これまでの出題(≒今年度の出題)

 

択一

本試験では,100%知らない肢が出ます。

問題によっては,知らない肢の正誤が判断できないと正解を1つに絞れません。

 

 

記述

記述で,予想していなかった出題も,かなりの高確率であります。

私が合格したのは平成22年度ですが,本試験後はほぼ毎年,多くの予備校・講師が「これは予想外だった……」と言います。

 

年度 予想外の出題の例
H22
■商業
「組織再編(新設分割)が出るとは……」
H23
■商業
「別紙で決議されている事項の一部がすでに登記されているって……」「出席株主の情報が議事録から聴取記録に移動した……」
H24
■不動産
「休眠担保権を出すんだ……」
H25
■不動産
「報告形式の登記原因証明情報の登記原因を書かせるんだ……」
H26
■不動産
「信託で,しかも抵当権と信託の抹消……」
「登記後に住所を移転しても,登記申請時点で登記記録上の住所に戻ってきていたら,名変登記が不要である登記研究まで出すんだ……」
■商業
「持分会社(合同会社への組織変更)を出したか……」
H27
■不動産
「電子記録債権?……」
■商業
「募集株式の発行等を登記できるか判断できないし……」
H28
■不動産
「何この分量。登記記録の前に8ページもあるし……」
■商業
「改正後2年目で監査等委員会設置会社への移行を出すの……」

 

*私の講座では扱っていたものも結構あるんですが,この記事の趣旨とは違いますので,その点は言及しません。

 

 

本試験での対応

このように,知らない肢や予想外の記述の出題があった場合,どう考えるかを何も準備していないと,「ヤバイ……。知らない。勉強不足だ……。」「私の受けた講座やテキストは,合格できないものだったんだろうか……」と思ってしまいます。

 

しかし,「自分が知らない肢は,他の受験生の方も知らない」「自分が予想していなかった出題は,他の受験生の方も予想していない」と考えてください。

7月2日の16:00までは。

 

受けた講座やテキストのせいである可能性は,ゼロではありません。

しかし,16:00まで,それを確かめる手段はありません。

また,十中八九,他の受験生の方も知りませんし,他の受験生の方も予想していません。

私は,これまで受講生の方に,「この講座でだけ扱っていなかったんですけど……。この講座でだけ説明されなかった出題方法だったんですけど……。」と言われたことはありません。

 

7月2日の16:00までは,信じてください。

 

「他の受験生の方も知らない」「他の受験生の方も予想していない」と考える,つまり,精神上他の受験生の方よりも有利になるところから,知らない肢や予想外の出題に対処できるかがスタートするんです。

 

 

上記のように考えてから,たとえば,知らない肢であれば,以下の視点から推理してみる。

 

 

①制度趣旨から考える

私の講座では「青」

 

②共通する視点などから考える

私の講座では「緑」

 

③他の制度との比較から考える

私の講座では,会社法・商業登記法ⅠのテキストP430などで説明した方法です。

 

④単純にどっちがかわいそうかを考える

 

 

記述であれば,「形式をいくら変えようが,司法書士に必要な知識を聞いていることに変わりはない」という基本の考え方に戻り,以下のように対処します。

 

 

①マニュアルどおり(解法どおり)対処できる依頼・問・注意事項(補足事項)は,マニュアルどおり素早く処理する

 

②不動産登記(記述)で知らない申請書を書かされたら,「申請情報の記載事項の意味」「添付情報の判断基準」から申請書を書く

私の講座では,「申請情報の記載事項の意味」は不動産登記法ⅠのテキストP218,「添付情報の判断基準」は不動産登記法ⅠのテキストP71,79,87,93,94,98です。

他の受験生の方も知らないわけですから,これらで,まず部分点(合格点)は取れます。

 

③商業登記(記述)で知らない申請書を書かされたら,「登記事項」を思い出して,そこから申請書を書く

よって,持分会社も,本試験までに登記記録だけは1度確認しておいてください。

私の講座であれば,会社法・商業登記法ⅡのテキストP90~92です(万が一に備え,会社法・商業登記法ⅡのテキストP484~485も確認しておいてください)。

商業登記(記述)の申請書は,雑にいえば,登記記録を書き換えることを書いているだけです。

他の受験生の方も知らないわけですから,これらで,まず部分点(合格点)は取れます。

 

 

「他の受験生の方も知らない」「他の受験生の方も予想していなかった」と考えることからスタートします。

 

 

 

松本 雅典

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