本試験の直前の震災で動揺があったりと勉強に集中できない環境の方もいるかもしれませんが,無事に本試験を受けられることを願っております。
本試験は,答練や模試で経験していないことが起こります。
そのとき,事前に想定しているかで,動揺の大きさ,試験結果への影響が変わります。
想定しておいていただきたいことを列挙しておきます。
いずれも,これまでの本試験から想定されることです。
目次
全体
1.出題ミス
出題ミスが多い試験です。
受験する立場としてはどうしようもできないので,出題ミスに気づいてしまったまたは疑いを持ってしまった方は「出題者の意図」と「他の受験生の方がどう考えるか?」を考えてください。
2.個数問題の増加
ex. 平成26年度の民法
他の受験生の方の正答率も落ちます。
午前択一だと,個数問題が増加する確率が最も高いのが民法です。
午前択一
1.憲法の新傾向の問題
ex. 平成28年度第2問は,それまで出題のなかった「総論」(憲法の学者本で人権と統治の前に書かれる分野)から「主権の概念」という論点が出ました。
2.憲法の難問
ex. 平成22年度第2問,平成23年度第1問(何十人もで解答を作成していながら間違えた予備校さえあり),平成29年度第3問
3.民法の学説問題の復活
平成26年度第4問以来,出題がありません。
復活したとしても,今の受験生の方は細かい学説を押さえていませんので,知識不足が原因で負けることはありません。
4.会社法の難問の増加
ex. 平成28年度(半分以上間違えて合格する方もいました)
5.会社法の学説問題の復活
平成26年度第31問以来,出題がありません。
復活したとしても,会社法の学説を押さえている受験生の方はほとんどいませんので,これも知識不足が原因で負けることはありません。
6.商法の商行為各論からの出題
ex. 平成22年度第35問(問屋及び商事仲立人),平成23年度第35問(商人間の売買)
商行為各論を捨てている方は,特に動揺しないようご注意ください。
午後択一
1.民事訴訟法の難問の増加
ex. 平成25年度(3~4問間違えて合格する方もいました)
2.民事執行法の未出論点からの出題
少額訴訟債権執行,財産開示などを捨てている方は,特に動揺しないようご注意ください。
3.不動産登記法の難問(と感じる問題)の増加
ex. 平成25年度以降
午後択一でペースを乱される方の多くは,不動産登記法が原因です。
実際に難問がそこまで多くなくても,最初のほうの問題(ex. 第12問,第14問)に難問が入ると,「午後択一で最も出題数が多い不動産登記法で全然正解できていない……」という感覚になり,過去問知識で解ける問題も間違えてしまう,という方が多いです。
「不動産登記法は最初のほうに難問がくる」と考えておいてください。
4.商業登記法の登記記録問題
商業登記法の登記記録問題は,難しいことが多いです(それに対して,不動産登記法の近年の登記記録問題は実は難しくはありません)。
「時間が厳しければ,捨て問になっても仕方ない」くらいに考えておいてください。
記述
1.不動産登記(記述)の分量の増加
ex. 平成28年度(登記記録に入る前の依頼・問・注意事項〔補足事項〕・事実関係で8ページもありました)
2.「答案用紙を書き始める」と決めた時間(14:40,15:35)までに申請順序・申請件数や登記することができない事項が確定しない
ex. 【不動産登記】平成29年度の第2欄,平成28年度の第2欄(3)(4),平成26年度の第1欄・第3欄
ex. 【商業登記】平成25年度
確定しないことのほうが多いです。
私も,「これで大丈夫かな?」と少し不安があります。
当日の検討会で不動産登記(記述)を担当していたときは,スタッフの方に「この申請順序・申請件数でいいか,急いでウラを取ってください!」とお願いしていました。
ですが,「14:40」「15:35」になったら書き始めるしかありません。
自信がなくても書けば部分点が入って受かる可能性がありますが(ほとんどがこのパターンで受かります),書けなければ合格する可能性はありません。
3.形式の大幅な変化
ex. 【不動産登記】平成20年度の別紙形式への変化,平成25年度の添付情報を記号で選ばせる形式への変化
ex. 【商業登記】平成23年度の出席株主などの情報が聴取記録に移動の変化
以上,多数書いてきましたが,「合格できない」という事態は想定しないでください。
受かるのは私たちです。
松本 雅典