【最新先例】管轄外への本店移転の新本店所在地の登記所への申請書の登記すべき事項

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ブログ記事にするのが遅くなってしまいましたが,管轄外への本店移転の新本店所在地の登記所への申請書の登記すべき事項について先例が出ています。

 

 

管轄外への本店移転の新本店所在地の登記所への申請書の登記すべき事項は,(試験的には)以下のようにダラダラと記載する必要がありました。

 

【登記すべき事項】

商号 株式会社辰已

本店 東京都新宿区新宿一丁目1番1号

公告をする方法 官報に掲載してする。

会社成立の年月日 平成元年5月1日

目的 1 情報処理サービス

   2 前号に附帯する一切の事業

発行可能株式総数 2,400株

発行済株式の総数 600株

資本金の額 金3,000万円

役員に関する事項

 取締役   A 平成29年6月25日就任

  同    B 平成29年6月25日就任

  同    C 平成29年6月25日就任

 東京都新宿区高田馬場五丁目5番3号

 代表取締役 A 平成29年6月25日就任

 監査役   D 平成29年6月25日就任

取締役会設置会社に関する事項

 取締役会設置会社

監査役設置会社に関する事項

 監査役設置会社

登記記録に関する事項

 平成30年6月28日横浜市神奈川区鶴屋町二丁目23番5号から本店移転

 

 

しかし,以下の先例が出ました。

 

平29.7.6民商111

 

(照会)本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新所在地における登記の申請において,申請書に記載すべき登記すべき事項(商業登記法(昭和38年法律第125号)第17条第2項第4号)については,……(中略)……登記すべき事項として,同法第53条に規定する事項(ただし,「会社の成立年月日」を除く。)の記載があれば足り,その他の事項の記載を省略しても差し支えないものと考えますが,いささか疑義がありますので,照会します。

 

(回答)……(中略)……貴見のとおり取り扱って差し支えないものと考えます。

 

 

(参考)商業登記法53条

新所在地における登記においては,会社成立の年月日並びに本店を移転した旨及びその年月日をも登記しなければならない。

 

 

管轄外への本店移転の新本店所在地の登記所への申請書の登記すべき事項が,ダラダラと記載する必要がなくなり,以下のように記載すればよくなったということです。

 

【登記すべき事項】

平成30年6月28日横浜市神奈川区鶴屋町一丁目1番地1から本店移転

 

 

参考:法務省の記載例:株式会社(本店移転(管轄登記所外に移転する場合 )(PDF)

 

 

いや~,楽になりましたね。

 

 

これにより,平成23年度の記述の第3欄の解答は以下のものでもよくなります。

 

 

【登記すべき事項】

平成23年7月1日東京都千代田区かすみ一丁目1番1号から本店移転

 

*問3の内容も変更する必要があります。

 

 

なお,平成26年度の記述も,管轄外への本店移転の登記が出題されていますが,新本店所在地の登記所への申請書は問われていません(旧本店所在地の登記所への申請書が問われています)。

 

 

 

※近年の司法書士試験の法改正・最新判例などは,以下の記事にまとめています。

 

 

 

 

松本 雅典

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