旧規定と新規定

旧規定

女性の再婚禁止期間は6か月でした。

 

民法733条(再婚禁止期間)―旧規定
1 女は,前婚の解消又は取消しの日から6か月を経過した後でなければ,再婚をすることができない。
2 女が前婚の解消又は取消しの前から懐胎していた場合には,その出産の日から,前項の規定を適用しない。
 
民法746条(再婚禁止期間内にした婚姻の取消し)―旧規定
第733条の規定に違反した婚姻は,前婚の解消若しくは取消しの日から6か月を経過し,又は女が再婚後に懐胎したときは,その取消しを請求することができない。

新規定

しかし,最高裁判所が,平成27年12月16日,6か月の再婚禁止期間のうち100日を超える部分は憲法に違反しているという判決(最判平27.12.16)を出したので,今年の通常国会の最終日の平成28年6月1日に民法が改正されました(<女性の再婚禁止>100日に 期間短縮、改正民法成立参照)。
新規定は,以下のとおりです。

 
民法733条(再婚禁止期間)―新規定
1 女は,前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ,再婚をすることができない。

2 前項の規定は,次に掲げる場合には,適用しない。

 一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合 
 二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合
 
これに合わせて,再婚禁止期間に違反した婚姻の取消しについての民法746条も改正されました。
 
民法746条(再婚禁止期間内にした婚姻の取消し)―新規定
第733条の規定に違反した婚姻は,前婚の解消若しくは取消しの日から起算して100日を経過し,又は女が再婚後に出産したときは,その取消しを請求することができない。

これらは,公布の日から施行されます。
間もなく公布されるでしょうから,施行も間もなくでしょう。
■平成28年6月7日追記
平成28年6月7日,官報に掲載(公布)されました。
官報平成28年6月7日)

なぜ100日を超える部分が違憲とされたのか?

再婚禁止期間の目的は,女性がすぐに再婚すると,子が生まれた場合に,前夫と後夫のどっちの男の子かわからなくなってしまうことを防ぐためです(子は母のお腹から出てきますので,誰が母かは明らかです。しかし,古代から「父は神のみぞ知る」といわれています。)。
最高裁判所は,この目的自体は「合理性を有する」とし,問題がないとしました。
しかし,女性のみ6か月間も再婚を禁止することは男女の平等を定めた憲法14条1項,24条2項に違反するとしました。
つまり,立法目的を達成する手段やり過ぎだよ,ということです。 
 

 

なぜ「100日」なのか?

改正後も,原則としては,女性は100日は再婚できません。
再婚禁止期間が100日とされているのは,100日経過すれば「嫡出推定がかぶらないから」です。
嫡出推定がされるのは,「婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子」です(民法772条2項)。
よって,前婚が解消してから100日経過後,たとえば,101日目に再婚した場合,以下の図のとおり,嫡出推定がかぶらないのです。 

160603再婚禁止期間

100日を経過していなくても女性が再婚できる場合

女性は100日は再婚できないのですが,改正民法733条には2項があります。
 
民法733条(再婚禁止期間)―新規定
1 女は,前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ,再婚をすることができない。

2 前項の規定は,次に掲げる場合には,適用しない。

 一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合 
 二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合
 
この2項により,以下のいずれかの場合には,女性でも,100日を経過していなくても再婚できます。
①女性が前婚の解消または取消しの時に懐胎していなかった場合
「懐胎」は,みごもるということです。
前婚の解消または取消しの時に懐胎していなければ,その後に懐胎した子が,前夫の子とは考えられないからです。
なお,前婚の解消または取消しの時に懐胎していなかったことは,医者の証明書などで証明することになります。
ほとんどの場合は,この①に当たり,医者の証明書などによりすぐに再婚できる女性がほとんどになると思われます。 
②女が前婚の解消または取消しの後に出産した場合
出産したのであれば,その次に生まれる子は再婚相手の男の子ということになるからです。

平成28年度司法書士試験はどうなるの?

平成28年度司法書士試験は,平成28年4月1日時点で施行されている法令が基準なので,施行されている法令の再婚禁止期間は「6か月」ということになります。
しかし,昨年の12月に違憲判決が出ているわけですから,「6か月」で正しい肢として出すことはできないでしょう。
今年の試験では,民法での出題は避けると思います。
民法では避けるでしょうが,憲法では平成27年12月16日の判決が出る可能性は一応あります。
ただ,司法書士試験の憲法は新しい判例はほとんど出題されないので,出る確率は低いです……。

 

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松本 雅典

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