会社法で1番理解しにくい条文?

会社法で1番理解しにくい条文は,これではないでしょうか。

会社法73条(創立総会の決議)
1 創立総会の決議は,当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の議決権の過半数であって,出席した当該設立時株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行う。

私は,受験生時代はまったくわからず,結局は丸暗記して試験に臨みました。
出題されなかったからよかったですが,出題されたら間違えていたと思います。
他の決議要件と違って,非常にわかりにくいです。
他の決議要件1―普通決議
株主総会の普通決議(会社法309条1項)は,すぐに理解できるでしょう。
主要部分を取り出すと,「議決権の過半数が出席」し,「その出席した議決権の過半数の賛成」があればOKということです。

151127普通決議の決議要件

定足数(出席者)の要件があり,その出席者のどれだけが賛成すればよいという規定方法です。

他の決議要件2―特殊決議
株主総会の特殊決議(会社法309条3項)も,理解しやすいです。
主要部分を取り出すと,「株主の半数以上」かつ「議決権の2/3以上の賛成」があればOKということです。

151127特殊決議の決議要件

定足数はありませんが,2つの要件がある意味がわかりやすいです。
議決権ベースだけですと,大株主の意図で決められてしまうため,人数要件もついているわけです。

創立総会の決議要件
これらに対して,創立総会の決議要件(会社法73条1項)は,以下のことを要求しています。

151124創立総会の決議要件

2つ要件があるのですが,普通決議(会社法309条1項)のように,「これだけ出席したうえで」「そのうちのこれだけ賛成しろ」と,(直接的に)言っているわけではありません。
しかも,どちらも「議決権ベース」なのです。
特殊決議(会社法309条3項)のように,1つが人数要件ならわかります。

「2つ目の要件だけでいいんじゃないの?」と思われたことがある方が多いのではないでしょうか。

1つ目の要件は定足数のようなもの

実は,1つ目の要件は,定足数の働きをします。
『新基本法コンメンタール会社法1』P153では,「定足数」と表現しています。
「定足数」と表現するのが正しいかはともかく,(かなり厳しい)定足数の働きをすることは間違いありません。
1つ目の要件と2つ目の要件を同時に充たさないといけなくて,1つ目の要件のほうに「出席者のうち」という要件がついていないということは,1つ目の要件は固定された要件ということになります。
以下の具体例で考えてみましょう。
基本具体例
議決権を行使することができる設立時株主の議決権が1000個である設立中の会社があります。
ex1. 「議決権を行使することができる設立時株主の議決権の半数(500株)以下の株主の出席」しかなければ,その時点で決議要件を充たさないことになります。固定された1つ目の要件(501個)の賛成が,得られないからです。

ex2. 「議決権を行使することができる設立時株主の議決権の半数プラス1株(501株)の株主の出席」しかなければ,全員の賛成(501個)が必要になります。出席者の2/3以上(334個以上)の賛成ではダメです。1つ目の要件(501個)は,固定された要件だからです。

動画で確認するのがベスト

と文章で説明してきましたが,伝わっているか不安があります。
私の言い方で「1つ目の要件は固定された要件」とか言いましたし。
これは,動画で「視覚的に」理解するのが一番です。
先日行ったガイダンスで,この説明をしているので,以下の動画で完璧にスッキリしていただけるはずです。
株主総会の普通決議(会社法309条1項)や特殊決議(会社法309条3項)との比較の説明からご覧になりたい方は,以下のプレーヤーを再生してください。
※該当箇所を頭出ししていますが,以下の動画を再生したことがある方は,その再生記録がお持ちの端末に記録されており,頭出しされないことがあります。その場合は,お手数ですが,「37:30」の箇所に移動してください。

創立総会の決議要件(会社法73条1項)の説明だけご覧になりたい方は,以下のプレーヤーを再生してください。
※該当箇所を頭出ししていますが,以下の動画を再生したことがある方は,その再生記録がお持ちの端末に記録されており,頭出しされないことがあります。その場合は,お手数ですが,「44:30」の箇所に移動してください。

赤で書いている部分(1つ目の要件)が,定足数になっていることが,板書からわかりますよね。
無料で公開されているものは,活用してください。
松本雅典

資格試験関連のその他のブログをご覧になれます 

  ↓   ↓   ↓   ↓   ↓ 

にほんブログ村 資格ブログ 司法書士試験へにほんブログ村 資格ブログ 行政書士試験へにほんブログ村 資格ブログ 宅建試験へ人気ブログランキングへ