成年後見,保佐,補助は頭がこんがらがる

「成年後見,保佐,補助」は,以下のような頭がこんがらがる知識が多く,記憶がしづらいですよね。
※この記事で得ていただきたいことは,成年後見と保佐の違いがわかれば理解できるので,成年後見と保佐の知識を記載します。
【同意権について】
1.成年後見人に同意権はない
2.保佐人には民法13条1項の行為に同意権があり,同意が必要な行為は被保佐人が単独で完全に有効に行えない(民法13条1項)
3.保佐人には同意権があるが,それ以外の行為は被保佐人が単独で完全に有効に行える
【代理権について】
1.成年後見人には財産権に関するあらゆる法律行為の代理権があり(民法856条1項),成年被後見人は原則として単独で完全に有効な法律行為(契約など)が行えない
2.保佐人には特定の法律行為について代理権が付与されることがあるが(民法876条の4第1項),これは任意である
頭が痛くなってきそうですね…。
こんなものを単に記憶しろというのは無理です。

2つの視点

記憶しづらい箇所も,「視点」を知ると一気に記憶しやすくなる場合があります。

視点1 成年被後見人,被保佐人,被補助人は単なる3段階ではない

どんな講座・テキストでも,判断能力の程度が「成年被後見人→被保佐人→被補助人」であると説明されます。
それはそうなのですが,もう少しつっこんだ理解をしてください。
これらは単なる3段階ではなく,「成年被後見人」と「被保佐人・被補助人」で大きく分かれます。

151102成年被後見人・被保佐人・被補助人
(『Realistic Text 民法Ⅰ』P18より一部抜粋)

「成年被後見人」と「被保佐人・被補助人」では,出発点が異なります。 

成年被後見人は,基本的に自分だけで法律行為を行うことができません
これが,成年被後見人の出発点です。
しかし,法律行為を行えないと社会生活で困ってしまいますので,どのように法律行為を行うのかが問題となります。
 
それに対して,被保佐人・被補助人は,基本的に自分だけで法律行為を行うことができます

これが,被保佐人・被補助人の出発点です。
自分一人で法律行為を行えるのですが,特定の重要な行為は行えない場合があります。

視点2 同意権と代理権の違い

同意は制限行為能力者に保佐人などが同意して法律行為をすること,代理は保佐人などが制限行為能力者の代わりに法律行為をすること,ということはご存知だと思います。
ただ,もう少しつっこんだ理解をしてください。
保佐人などに同意権があれば,同意権のある行為については,制限行為能力者は保佐人などの同意がなければ単独で完全に有効な法律行為(契約など)をできないことになります。
それに対して,代理権は,「代理権がある=制限行為能力者が単独で完全に有効な法律行為が行えなくなる」というわけではありません。
代理権があるということは,「プラスアルファとして代理人も単独で法律行為をすることができる」ということなのです。

以下のイメージです。

151102同意権と代理権の違い

2つの視点を冒頭の知識に当てはめると

それでは,上記2つの視点を冒頭の知識に当てはめてみましょう。
【同意権について】

1.成年後見人に同意権はない

成年被後見人は,基本的に自分だけで法律行為を行えないところからの出発点です(上記の視点1)。
よって,成年後見人に同意してもらっても(補ってもらっても),自分で法律行為を行うことはできません。
2.保佐人には民法13条1項の行為に同意権があり,同意が必要な行為は被保佐人が単独で完全に有効に行えない(民法13条1項)
被保佐人は,基本的に自分だけで法律行為を行えるところからの出発点です(上記の視点1)。
ただ,同意が必要な特に重要な民法13条1項の行為については,保佐人の同意が必要とされます。
保佐人に同意権がある行為については,被保佐人は単独で完全に有効に行えなくなります(上記の視点2)。 
3.保佐人には同意権があるが,それ以外の行為は被保佐人が単独で完全に有効に行える

被保佐人は,基本的に自分だけで法律行為を行えるところからの出発点です(上記の視点1)。
よって,保佐人の同意が必要とされた行為以外は,単独で完全に有効に行えます。
【代理権について】
1.成年後見人には財産権に関するあらゆる法律行為の代理権があり(民法856条1項),成年被後見人は原則として単独で完全に有効な法律行為(契約など)が行えない

成年被後見人は,基本的に自分だけで法律行為を行えないところからの出発点です(上記の視点1)。
成年被後見人だけではほとんど何もできませんので,成年後見人に行ってもらう必要があります。
ただ,「成年後見人にプラスアルファの代理権が付与されただけだから(上記の視点2),『成年被後見人は原則として単独で完全に有効な法律行為が行えない』というのはおかしくない?」と思われるかもしれません。
これは,代理権があるからという問題ではなく,成年被後見人の出発点が自分だけで法律行為を行えないところからであるという点にあります(上記の視点1)。
2.保佐人には特定の法律行為について代理権が付与されることがあるが(民法876条の4第1項),これは任意である
被保佐人は,基本的に自分だけで法律行為を行えるところからの出発点です(上記の視点1)。
特に同意が必要とされる民法13条1項の行為以外は,単独で完全に有効に行えるので,保佐人に代理権は不要なのです。
よって,代理権を付与するかは任意です。
「視点」が入ると,理解・記憶が一気に進むと思います。
なお,上記の2つの視点を基に進む講義は,以下からご覧いただけます。 
・民法第1回講義
※『Realistic Text 民法Ⅰ』のうち民法第1回目で扱ったページ(一部を除く)はこちら(PDF)からご覧いただけます。

※成年被後見人・被保佐人・被補助人を説明している箇所を頭出ししていますが,以下の動画を再生したことがある方は,その再生記録がお持ちの端末に記録されており,頭出しされないことがあります。その場合は,お手数ですが,「2:26:00」の箇所に移動してください。

無料で公開されているものは,有効活用してください。
平成27年度向け以前の私の基礎講座をご受講いただいた方も,主要科目の第1回目の講義は無料でご視聴いただけますので,最新年度の講義で無料で公開されているものはご視聴ください。
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松本雅典

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