前回の2年目以降の意外と多い合格パターンの記事に書きましたとおり,「基本に戻ること」が合格につながる場合があります(状況によりますが)。
ただ,「基本」といっても,何のことかよくわからないですよね。
人によって考え方が違うでしょうし。
ただ,おそらく争いがないのは,「特定のテキストにしか書かれていないようなこと」ではなく,「どんなテキストにも書かれているが,それを本当にわかっているか(使いこなせているか)」が基本がわかっているかでしょう。
争いがないであろう書き方をしたので,抽象的になってしまいました。
例を挙げますので,もう少し具体的に考えてみましょう。

抵当権の「非占有担保」

抵当権の特徴が以下の2点であるということは,どんなテキストにも書かれているでしょう。
1.非占有担保
質権と異なり,担保権者が目的物を占有しないということです。
2.交換価値の把握
抵当権者は銀行をイメージしていただきたいのですが,銀行には抵当にとった不動産は「¥」(カネ)に見えています。
銀行には,その建物にシステムキッチンが付いていて使いやすいかなどはどうでもよく,「金に替えるといくらになるのか」しか見えていません。
そして,金に替えられるのが,目的物の交換価値を把握しているということです。
抵当権は,各テーマの冒頭で上記の2つの特徴のどちらが前面に出るかの説明がされ,講義が進んでいくと思います。
たとえば,「利息や損害金が最後の2年分に制限される(民法375条)」は,上記1にあるとおり抵当権は非占有担保であり目的物は設定者が占有しているので,第三者が利害関係をもつ確率が高いためにある規定です。
「抵当権の効力が及ぶ目的物の範囲(民法370条)」は,上記2の交換価値の把握が,いったいどこまで把握しているのかという問題です。
「物上代位(民法372条,304条)」は,上記2にあるとおり抵当権は交換価値を把握しているので,目的物が変じたもの(保険金請求権など)にも,物上代位できるという話です。
物上代位とは,抵当権者が,「物」の「上」に設定者が持つ地「位」に「代」わることができるということです。
 
ここまでは,どんな講座でも説明されるはずです。
では,上記の抵当権の2つの特徴を,上記のような各テーマの存在理由だけでなく,もう少し細かい知識にも生かせているでしょうか。
たとえば,基本的な話ですが,抵当権の目的となるものには以下のものがあります。

・民法上認められているもの:不動産(民法369条1項),地上権,永小作権(民法369条2項)
・特別法上認められているもの:工場財団,立木法に基づいて登記された立木など
これを単に記憶していませんか。
それだと,抵当権の冒頭で学ぶ,抵当権の特徴である「非占有担保」を生かせていないことになります。
抵当権の目的として認められているものに共通するのは,「登記制度がある」ということなのです。
抵当権は非占有担保であるため,目的物を占有することによって公示できません。
そこで,登記で公示することになります。
よって,登記制度が存在する物でないと認められないのです。
たとえば,原則として登記制度がない動産を目的とすることは,原則としてできません。
これは十分条件ではないので,登記制度があるから必ず抵当権の目的となるわけではありませんが(ex.賃借権に抵当権は設定できません),認められているものに共通しているのは(必要条件は), 「登記制度がある」ということなのです。
その理由が,どのテキストにも書かれている「抵当権は非占有担保」なのです。
「抵当権の目的となるのは,不動産と地上権と…」と単に記憶するレベルから脱却して,上記のように共通の視点で見ることができるようになる,これが「基本に戻る」ということです。
「抵当権は非占有担保」は,どのテキストにも書かれていますよね。
ですが,生かせているでしょうか。
ご自身に足りているか考えてみてください。
不動産登記法の申請情報を単に記憶していませんか?の記事に続きます。 

 

松本 雅典
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